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産業廃棄物と一般廃棄物の違い|許可区分を解説
「自社で出たごみは産業廃棄物なのか、それとも一般廃棄物なのか」「廃棄物処理業を始めるには、どんな許可が必要なのか」。こうした疑問を持つ事業者の方は少なくありません。廃棄物の分類や許可区分は、廃棄物処理法という法律によって細かく定められています。
これから収集運搬業や処分業への参入を検討している方に向けて、制度の全体像をお伝えします。
結論:廃棄物の処理には2つの分類と2つの許可がある
最初に要点をお伝えします。廃棄物は大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類に分けられます。そして、廃棄物を扱う事業は「収集運搬業」と「処分業」の2つの許可区分に分かれています。
この「2×2」の組み合わせが、廃棄物処理業を理解するうえでの土台になります。なぜこのように細かく分けられているのでしょうか。それは、ごみの種類によって危険性や処理方法が大きく異なり、不適正な処理が生活環境の汚染や健康被害につながりかねないためです。
私たちの日常生活や事業活動からは、必ずごみが排出されます。これらが適正に収集運搬・処理されなければ、生活環境は守れません。そこで国は、廃棄物の収集運搬業や処分業を許可制とし、一定の基準を満たした事業者だけが営めるしくみを整えているのです。
廃棄物処理法とは|許可制になっている根拠
廃棄物の取り扱いを定めているのが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(通称・廃棄物処理法)です。この法律にもとづき、廃棄物の収集運搬業や処分業は許可制となっています。
許可制が採用されているのには、明確な理由があります。それぞれの事業者が好き勝手にごみを排出・処理すれば、生活環境が汚染されかねません。ごみの種類によっては、健康に直接的な被害を及ぼすものもあります。こうした事態を未然に防ぐため、専門的な知識と設備を持つ事業者だけが廃棄物処理を担えるよう、法律で枠組みが定められているのです。
つまり、廃棄物処理業の許可は「環境と健康を守るための信頼の証」ともいえます。許可なく業として廃棄物を処理すれば、罰則の対象となる点にも注意が必要です。
廃棄物は一般廃棄物と産業廃棄物に分けられる
廃棄物処理法第2条では、廃棄物を産業廃棄物と一般廃棄物の2種類にわけて定義しています。両者の最も大きな違いは、処理の責任を誰が負うかという点にあります。
| 分類 | 処理の責任者 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 一般廃棄物 | 市町村 | 家庭ごみ、産業廃棄物以外の事業系ごみ |
| 産業廃棄物 | 排出した事業者 | 事業活動に伴うごみのうち政令で定めるもの |
このように、一般廃棄物は市町村が、産業廃棄物は排出した事業者が処理するという違いがあります。その内容や排出方法によって、どちらに分類されるかが決まるしくみです。
産業廃棄物に分類されるごみ(20種類)
産業廃棄物は、事業系ごみのうち政令で定められたごみのことをいいます。分類のパターンは、大きく次の2つにわかれます。
- どんな事業でも産業廃棄物になるもの(あらゆる事業活動に伴うもの)
- 特定の事業で排出された場合のみ産業廃棄物になるもの(特定の事業活動に伴うもの)
①あらゆる事業活動に伴うもの
燃え殻・汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・廃プラスチック類・ゴムくず・ガラスくず・コンクリートくず及び陶磁器くず・鉱さい・がれき類・ばいじん
②特定の事業活動に伴うもの
・紙くず(建設業など)
・木くず(建設業など)
・繊維くず(建設業など)
・動植物性残さ(食料品製造業など)
・動物系固形不要物(食肉加工業など)
・動物の糞尿(畜産農業)
・動物の死体(畜産農業)
ポイントは、何の事業で排出されたごみかによって扱いが変わるという点です。たとえば、一般的な事務仕事で発生した紙くずは産業廃棄物にはなりません。しかし、建設業(工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたもの)で発生した紙くずは、産業廃棄物として処理する必要があります。
初心者が間違えやすいのは、まさにこの点です。「同じ紙くずなのに、なぜ扱いが違うのか」と戸惑う方も多いでしょう。同じ品目でも、排出される事業の種類によって分類が分かれることを覚えておきましょう。
一般廃棄物は「産業廃棄物以外」と定義される
一方の一般廃棄物には、産業廃棄物のような明確な品目リストがあるわけではありません。法律上は「産業廃棄物以外の廃棄物」として定義されます。
具体的には、家庭から出る家庭ごみのほか、産業廃棄物に該当しない事業系ごみが一般廃棄物として処理されます。先ほどの例でいえば、事務仕事で出た紙くずは一般廃棄物にあたります。「まず産業廃棄物を特定し、それ以外を一般廃棄物とする」という考え方を押さえておくと、判断に迷いにくくなります。
特別管理廃棄物という、より厳格な分類
なお、廃棄物のなかには、特に取り扱いに注意が必要なものがあります。爆発性、毒性、感染性、その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものです。
これらは「特別管理一般廃棄物」「特別管理産業廃棄物」として分類され、通常の廃棄物よりも厳格な取り扱いが求められます。たとえば、医療機関から出る感染性廃棄物や、特定の有害物質を含む汚泥などが該当します。これらを扱う場合は、別途、特別管理産業廃棄物の許可が必要になる点にも留意してください。
廃棄物処理業の許可区分|収集運搬業と処分業
ここからは許可区分の話に移ります。廃棄物処理業の許可は、大きく収集運搬業と処分業の2つに分かれます。それぞれ担う役割が異なるため、自社の事業内容に合った許可を取得する必要があります。

なお、一般廃棄物処分業は、市町村が募集をしていることが前提となるなど、参入(新規許可の取得)が困難な現状にあります。これは、一般廃棄物の処理責任が市町村にあるという制度設計に由来します。そのため、これから廃棄物処理業への参入を目指す多くの事業者にとって、現実的な選択肢は産業廃棄物に関する許可となります。
産業廃棄物収集運搬業|積替え保管の有無で難易度が変わる
産業廃棄物収集運搬業とは、排出事業者から委託された廃棄物を、産業廃棄物処理施設まで運搬することを業として行うものです。この許可は、さらに次の2つのパターンに分かれます。
| 区分 | 内容 | 取得の難易度 |
|---|---|---|
| 積替え保管を含まない | 収集した廃棄物を処理施設まで直接運搬する | 比較的取得しやすい |
| 積替え保管を含む | 一時的に保管場所で保管し、別の車両に積み替える | 基準が厳しく取得が難しい |
積替え保管を含まない場合は、廃棄物を収集したら産業廃棄物処理施設まで直接運搬します。これがもっとも基本的な形です。
一方、積替え保管を含む場合は、収集した産業廃棄物を一時的に保管場所で保管し、別の車両に積み替えます。これにより、運搬効率の向上やコスト削減が可能になります。ただし、積替え場所が一定の基準を満たす必要があり、申請に必要な手順や準備する書類も増えます。そのため、許可の取得は容易ではありません。初めて許可取得を目指す方は、まず積替え保管を含まない区分から検討するのが現実的でしょう。
産業廃棄物処分業|中間処理と最終処分
産業廃棄物処分業は、産業廃棄物の中間処理や最終処分を業として行うものです。中間処理には焼却、脱水、破砕などが含まれ、最終処分には埋め立てが該当します。
処分業は、収集運搬業に比べて大規模な設備や施設を要するケースが多く、施設の設置自体に別途の許可が必要になることもあります。事業計画の立案や周辺環境への配慮など、準備すべき事項は多岐にわたります。どの区分の許可が自社に必要かを、早い段階で見極めておくことが大切です。
許可取得でつまずきやすいポイント
産業廃棄物の許可申請では、いくつか注意したい点があります。まず、収集運搬業の許可は、廃棄物を「積み込む場所」と「降ろす場所」の両方を管轄する都道府県・政令市ごとに取得が必要です。複数の地域をまたいで運搬する場合、それぞれで許可を取らなければならないことがあります。
また、許可を取得するには、申請者が一定の講習会を修了していることが求められます。役員に欠格事由がないこと、事業を的確に行うための経理的基礎があることなども審査の対象です。許可取得後によくあるのが、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付・保存義務に関する見落としです。適正に処理されたかを確認する重要な書類のため、運用ルールを正しく理解しておきましょう。
※許可の要件や必要書類は自治体によって運用が異なります。最新の要件は、必ず管轄の窓口にご確認ください(2026年4月現在の一般的な内容です)。
よくある質問(FAQ)
Q. 事務所から出る紙くずは産業廃棄物ですか?
A. 一般的な事務仕事で発生した紙くずは、産業廃棄物にはあたらず、一般廃棄物として扱われます。ただし、建設業など特定の事業活動に伴って発生した紙くずは産業廃棄物となります。同じ品目でも、どの事業から排出されたかで分類が変わる点に注意してください。
Q. 産業廃棄物収集運搬業の許可は、どこに申請しますか?
A. 廃棄物を積み込む場所と降ろす場所、それぞれを管轄する都道府県または政令市に申請します。地域をまたいで運搬する場合は、複数の自治体で許可が必要になることがあります。
Q. 積替え保管ありとなしで、どちらが取得しやすいですか?
A. 積替え保管を含まない区分のほうが取得しやすいとされています。積替え保管を含む場合は、保管場所が一定の基準を満たす必要があり、書類や手続きも増えるためです。
Q. 一般廃棄物処分業の許可は取れますか?
A. 一般廃棄物処分業は、市町村が募集をしていることが前提となるため、新規参入が難しい現状にあります。これから廃棄物処理業を始める場合、産業廃棄物に関する許可が現実的な選択肢になることが多いです。
まとめ
廃棄物処理業を理解する鍵は、「一般廃棄物と産業廃棄物」という2つの分類と、「収集運搬業と処分業」という2つの許可区分にあります。廃棄物処理法にもとづき、これらは環境と健康を守るために許可制とされています。
特に、これから参入を目指す事業者にとっては、産業廃棄物収集運搬業(積替え保管を含まない区分)が最初のステップになりやすいでしょう。自社のごみがどの分類にあたるのか、どの許可が必要なのかを正しく見極めることが、適正な事業運営の第一歩です。最新の要件は管轄の窓口で確認しながら、計画的に準備を進めていきましょう。

