産業廃棄物収集運搬業許可申請の流れ

産業廃棄物収集運搬業を始めるには、都道府県知事による「産業廃棄物収集運搬業許可」を取得しなければなりません。申請にはいくつかのステップがあり、なかでも講習会の修了証を添付する必要があるなど、前もって準備しておくべき事項があります。

この記事では、東京都の事例をもとに申請の流れをわかりやすく整理します。許可証が交付されるまでにどれくらいの期間がかかるのかも含めて、全体像をつかんでおきましょう。

目次

結論:産業廃棄物収集運搬業許可の申請は6ステップ

先に結論からお伝えします。産業廃棄物収集運搬業許可(積替え保管を含まない)の申請は、東京都の場合、おおむね次の6つのステップで進めていきます。

  1. 講習会の受講(JWセンターの講習会を修了する)
  2. 申請書の作成(申請書・添付書類をそろえる)
  3. 申請日時の予約(窓口は予約制)
  4. 申請(来庁して形式審査・手数料納付)
  5. 審査(許可基準・欠格事由のチェック)
  6. 許可証の交付(原則として郵送)

ポイントは、最初のステップである講習会の受講に時間がかかること、そして申請が予約制であることです。申請を思い立ってからすぐに窓口へ行けるわけではないため、スケジュールには余裕をもたせておくことが大切です。それぞれのステップを以下で詳しく見ていきましょう。

そもそも産業廃棄物収集運搬業許可とは

産業廃棄物収集運搬業許可とは、他人から委託を受けて産業廃棄物を収集・運搬する事業を行うために必要な許可です。廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」)第14条第1項に基づき、事業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事(または政令市長)の許可を受けることが定められています。

なぜ許可が必要なのでしょうか。それは、産業廃棄物が不適正に処理されると、環境汚染や不法投棄といった重大な問題を引き起こすおそれがあるためです。そのため、一定の知識と能力をもつ事業者だけが収集運搬を担えるよう、許可制が採用されています。

ここで注意したいのが、許可は「収集・運搬する区域ごと」に必要になるという点です。たとえば、東京都で集めた廃棄物を埼玉県の処分場へ運ぶ場合、積み込む側と荷下ろしする側の両方の自治体で許可が求められるのが原則です。事業の範囲が複数の都道府県にまたがるときは、それぞれの自治体で許可を取得する必要がある点を押さえておきましょう。

なお、収集運搬業には「積替え保管を含むもの」と「含まないもの」の2種類があります。本記事では、申請件数が多い「積替え保管を含まない」タイプの申請の流れを前提に解説します。

産業廃棄物収集運搬業許可の申請の流れ【6ステップ】

ここからは、申請の流れを順を追って具体的に解説します。東京都の場合、以下の流れで進めていきます。

産業廃棄物収集運搬業許可の申請の流れ

①講習会の受講

申請に際しては、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」を修了していることが必要です。そのため、まずはこの講習会を受講します。

講習会はオンライン形式または対面形式で受講します。全科目の受講を終えたあと、修了試験を受けて合格しなければなりません。受講料はオンライン形式で25,300円、対面形式で29,700円です。

この講習会の修了が許可の前提条件となるため、申請までの工程のなかでも特に早めに着手しておきたいステップです。人気の日程はすぐに埋まってしまうこともあるため、事業の開始時期から逆算して受講予約を入れておくと安心です。なお、法人の場合は誰が受講すればよいかという点にも注意が必要で、原則として事業を行う代表者や政令使用人などが受講します。

②申請書の作成

次に、申請書類および添付書類を準備します。書類は個人と法人で必要なものが異なるため、自分のケースに当てはまるものを正確にそろえることが重要です。東京都の場合、おもに次の書類が必要となります(詳細は後述の一覧表をご確認ください)。

  • 産業廃棄物収集運搬業許可申請書
  • 事業計画の概要
  • 運搬車両(又は船舶)・運搬容器等の写真(カラー)
  • 事業の開始に要する資金の総額及びその調達方法
  • 誓約書、住民票抄本などの本人確認・欠格要件に関する書類
  • 講習会修了証の写し、車検証の写し など

特に「事業計画の概要」では、どのような産業廃棄物を、どの区域で、どの程度の量で扱うのかを具体的に示します。許可後によくあるのが、計画と実態がずれてしまうケースです。後の事業運営を見据えて、無理のない現実的な計画を立てておくことをおすすめします。

③申請日時の予約

申請は予約制となっており、事前に申請日時を予約する必要があります。窓口へ書類を持参すればその場で受け付けてもらえる、というわけではない点に注意しましょう。

申請窓口が混雑している場合、予約できる日時が1〜2か月以上先になることもあります。これは申請を希望する事業者が多い時期に起こりやすく、スケジュールに大きく影響します。「書類がそろってから予約すればよい」と考えていると、想定より許可取得が遅れてしまうおそれがあります。書類準備と並行して、早めに予約状況を確認しておくとよいでしょう。

④申請

予約した日時に来庁し、申請書の形式審査を受けます。形式審査とは、書類がそろっているか、記載漏れがないかといった形式面のチェックです。この審査を通過したあと、申請手数料を納付します。

申請手数料は、新規許可申請で81,000円です。手数料は納付すると原則として返還されないため、書類に不備がないよう、申請前にしっかり確認しておくことが大切です。

⑤審査

申請が受理されると、許可基準を満たしているか、欠格事由に該当していないかの審査が行われます。欠格事由とは、過去の法令違反など、許可を受けられない事情を指します(廃棄物処理法第14条に定められています)。

審査の標準処理期間(許可証の交付までの期間)は、申請書の受理後60日です。ここで気をつけたいのが、この60日には土日祝日が含まれないという点です。つまり、実際のカレンダー上ではおよそ3か月前後かかる計算になります。事業開始の予定日から逆算し、十分な余裕をもって申請しましょう。

⑥許可証の交付

審査を無事に通過すると、許可証が交付されます。許可証は原則として申請者へ郵送されます。この許可証を受け取って、はじめて産業廃棄物の収集運搬を適法に行えるようになります。

なお、許可には有効期限があり、期限が切れる前に更新申請を行わなければ事業を継続できません。また、実際に廃棄物を運搬する際は、マニフェスト(産業廃棄物管理票)の交付・保管などの義務もともないます。許可取得はゴールではなくスタートと考え、運営中のルールもあわせて確認しておきましょう。

申請にかかる費用と期間の目安

申請にあたって気になるのが、費用と期間です。ここまでに触れた内容を、わかりやすく表に整理しました。資金計画やスケジュールを立てる際の参考にしてください。

項目金額・期間備考
講習会受講料(オンライン)25,300円JWセンター実施
講習会受講料(対面)29,700円修了試験の合格が必要
申請手数料(新規)81,000円形式審査後に納付
標準処理期間受理後60日土日祝日を含まない
申請日時の予約1〜2か月先になることも窓口の混雑状況による

表からもわかるとおり、講習会受講料と申請手数料を合わせると、最低でも10万円以上の費用がかかります。さらに、行政書士に申請を依頼する場合は別途報酬が必要です。期間についても、講習会の受講から許可証の交付まで、トータルで数か月単位の時間を見込んでおくと安心です。

産業廃棄物収集運搬業許可の必要書類一覧

申請でもっとも手間がかかるのが、書類の準備です。東京都の場合、個人と法人で必要書類が異なります。共通して必要なもの、個人のみ必要なもの、法人のみ必要なものに分けて、以下の表にまとめました。

区分必要書類
共通産業廃棄物収集運搬業許可申請書/事業計画の概要/運搬車両(又は船舶)の写真(カラー)/運搬容器等の写真(カラー)/事業の開始に要する資金の総額及びその資金の調達方法/誓約書/住民票抄本/成年被後見人等に該当しない旨の登記事項証明書等/政令使用人に関する証明書(当該使用人がいる場合)/講習会修了証の写し/車検証の写し/レターパックプラス
個人資産に関する調書/所得税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)
法人最新の定款の写し/登記事項証明書(履歴事項全部証明書)/貸借対照表(直近3年分)/損益計算書(直近3年分)/株主資本等変動計算書(直近3年分)/個別注記表(直近3年分)/法人税の納税証明書「その1 納税額等証明用」(直近3年分)

法人の場合、財務に関する書類(貸借対照表や損益計算書など)を直近3年分そろえる必要がある点が特徴です。これは、事業を安定して継続できる経理的な基礎があるかを確認するためです。設立してまだ年数の浅い法人では、用意できる書類が異なる場合があるため、事前に窓口へ確認しておくとよいでしょう。

※必要書類は自治体や申請内容によって異なる場合があります。最新の要件は、必ず管轄の窓口にご確認ください。

申請でつまずきやすい注意点・落とし穴

産業廃棄物収集運搬業許可の申請では、初めての方がつまずきやすいポイントがいくつかあります。あらかじめ知っておくことで、手戻りや遅延を防げます。

  • 講習会の受講に時間がかかる:修了証は申請の必須書類です。日程によっては受講できるまで待つことがあり、ここが全体のスケジュールを左右します。
  • 申請は予約制:書類がそろっても、予約が取れなければ申請できません。混雑時は1〜2か月先になることもあります。
  • 標準処理期間に土日祝が含まれない:「60日」をカレンダー通りに数えると見込みがずれます。実質3か月前後と考えておきましょう。
  • 運搬車両・容器の写真の撮り方:カラー写真が求められ、ナンバープレートや表示が確認できるよう撮影方法に決まりがある場合があります。
  • 区域ごとに許可が必要:複数の都道府県で事業を行う場合、それぞれの自治体で許可を取得する必要があります。

これらはいずれも、事前に把握しておけば対処できるものばかりです。とりわけスケジュール面の余裕は重要で、「事業をいつ始めたいか」から逆算して準備を進めることが、スムーズな許可取得の近道となります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 許可が下りるまでどれくらいかかりますか?

申請書が受理されてからの標準処理期間は60日です。ただし、この60日には土日祝日が含まれないため、実際にはおよそ3か月前後を見込んでおくとよいでしょう。さらに、その前段階である講習会の受講や申請日時の予約にも時間がかかるため、全体ではより長い期間を想定しておくことをおすすめします。

Q2. 申請にかかる費用はいくらですか?

おもな費用は、講習会受講料(オンライン25,300円・対面29,700円)と、新規許可申請の手数料81,000円です。これらを合わせると10万円以上が必要となります。行政書士へ依頼する場合は、別途報酬がかかります。

Q3. 講習会は必ず受講しないといけませんか?

はい。JWセンターが実施する講習会の修了証は、申請に必要な添付書類です。全科目を受講したうえで修了試験に合格する必要があります。修了証がないと申請自体ができないため、もっとも早く着手しておきたいステップといえます。

Q4. 個人事業主でも申請できますか?

はい、個人でも申請できます。ただし、必要書類は法人と異なり、個人の場合は「資産に関する調書」や「所得税の納税証明書(直近3年分)」などが求められます。自分が個人・法人のどちらに該当するかを確認したうえで、書類をそろえましょう。

Q5. 申請はどこの窓口に行えばよいですか?

事業を行おうとする区域を管轄する都道府県(または政令市)の担当窓口で申請します。本記事は東京都の事例をもとにしていますが、自治体によって書類や運用が異なる場合があります。最新の要件は、必ず管轄の窓口にご確認ください。

まとめ

産業廃棄物収集運搬業許可の申請は、①講習会の受講、②申請書の作成、③申請日時の予約、④申請、⑤審査、⑥許可証の交付という6つのステップで進みます。特に、講習会の受講と申請の予約には時間がかかるため、早めの準備がスムーズな許可取得のカギとなります。

費用は講習会受講料と申請手数料を合わせて10万円以上、期間は実質3か月前後を見込んでおきましょう。必要書類は個人と法人で異なり、特に法人は財務関係の書類を直近3年分そろえる必要があります。要件は自治体や時期によって変わることがあるため、最新情報は管轄の窓口で確認することが大切です。

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