
在留資格「経営・管理」の上陸基準省令と出入国管理及び難民認定法施行規則の一部が改正され、2025年(令和7年)10月16日に施行されました。事業の規模を示す基準が資本金500万円以上から3,000万円以上へ引き上げられたほか、常勤職員1人以上の雇用、日本語能力、学歴または職歴、事業計画書に対する専門家の確認という4つの要件が新たに加わっています。
実体を伴った経営活動のみを許可するという方針が、基準の形で示された改正です。これから申請する場合も、すでに在留している場合も、影響の出方が異なるため分けて把握する必要があります。
※2026年9月現在の情報です。入管法令は改正が頻繁にあるため、申請前に出入国在留管理庁の最新情報をご確認ください。
改正で加わった5つの要件

改正前の基準では、事業の規模について「常勤職員2人以上」または「資本金の額もしくは出資の総額が500万円以上」のいずれかを満たせば足りました。改正後は、次の5つがいずれも求められます。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 常勤職員の雇用 | 1人以上の常勤職員を雇用すること |
| 事業の規模 | 3,000万円以上の資本金等があること |
| 日本語能力 | 申請者または常勤職員のいずれかがB2相当以上の日本語能力を有すること |
| 経歴 | 関連分野の博士・修士・専門職の学位、または経営・管理について3年以上の職歴 |
| 事業計画書 | 経営に関する専門的な知識を有する者の確認を受けること |
根拠:出入国在留管理庁「在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について」(令和7年10月16日施行)
いずれかを選べばよい形から、すべてを満たす形へ変わった点が改正の本質です。資本金の額だけに注目が集まりがちですが、日本語能力と専門家の確認は、金額とは別の準備を必要とします。
常勤職員:誰を雇えばよいのかに注意が要る
許可基準としての「常勤の職員」は、日本人、特別永住者、および法別表第二の在留資格をもって在留する外国人(永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)に限られます。技術・人文知識・国際業務などの法別表第一の在留資格で在留する外国人は、この要件の対象になりません。
一方、日本語能力の要件でいう「常勤職員」には、法別表第一の在留資格で在留する外国人も含まれます。同じ言葉が要件によって範囲を変えるため、ここは取り違えやすい部分です。
出入国在留管理庁は、基準を満たす例と満たさない例を示しています。日本人または特別永住者を1名以上雇用する形、あるいは別表第二の在留資格の外国人1名(日本語能力の立証あり)を雇用する形であれば基準を満たします。別表第一の在留資格の外国人だけを雇用している場合や、別表第二の常勤職員のみで日本語能力の立証がない場合は基準を満たしません。
常勤性の判断についても具体的な目安が示されました。労働日数が5日以上かつ年間217日以上で、週労働時間が30時間以上であること、6か月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した職員に10日以上の年次有給休暇が与えられること、雇用保険の被保険者であり週の所定労働時間が30時間以上であることが挙げられています。
在籍出向、派遣、請負の形態で業務に従事している労働者は、業務に従事している事業所の常勤職員とは見なされません。人員の確保を外部に頼る形では要件を満たせない設計になっています。
資本金3,000万円:法人と個人事業主で意味が違う
3,000万円という金額は、法人の場合は株式会社における払込済資本の額(資本金の額)、または合名会社・合資会社・合同会社の出資の総額を指します。資本準備金、資本剰余金、利益剰余金は含まれません。
個人事業主の場合は、資本金を用意するものではありません。事業所の確保や雇用する職員の給与(1年間分)、設備投資経費など、事業を営むために必要なものとして投下されている総額を指します。出入国在留管理庁は、個人事業主も3,000万円の資本金を準備しなければならないという理解を明確に否定しています。
法人の場合、従業員の給与額や事務所の維持費を資本金に合算することはできません。また、複数の会社の経営に従事する場合も、それぞれの資本金を合算するのではなく、いずれか1社の規模が3,000万円以上である必要があります。
申請人が管理者として活動する場合であっても、この資本金等の要件は満たす必要があります。経営者ではないから対象外という整理にはなりません。
日本語能力:申請者か常勤職員のどちらかがB2相当

「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力が求められます。申請者本人が満たす必要はなく、常勤職員のいずれかが満たしていれば足ります。日本人または特別永住者以外については、次のいずれかで証明します。
- 日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定を受けていること
- BJTビジネス日本語能力テストにおいて400点以上を取得していること
- 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
- 日本の大学等高等教育機関を卒業していること
- 日本の義務教育を修了し高等学校を卒業していること
高等教育機関には、本邦の高等専門学校や専門学校を卒業した場合も含まれます。ただし、恒常的に外国語による授業を行っている課程や、通信により教育を行っている課程を卒業・修了した場合は除かれます。
義務教育の要件については、小学校および中学校の義務教育を修了していることが前提です。中学校から編入して卒業した場合は該当しません。
証明は、試験による場合は合格証や成績証明書、その他の方法による場合は住民票や卒業証明書などで行います。
経歴と事業計画書:新たに求められる2つの準備
経歴については、経営管理または申請に係る事業の業務に必要な技術・知識に関する分野の博士、修士もしくは専門職の学位を取得していること、または事業の経営もしくは管理について3年以上の職歴を有することが求められます。外国で授与された相当する学位も含まれます。
職歴には、在留資格「特定活動」にもとづく起業準備活動の期間、つまり貿易その他の事業の経営を開始するために必要な事業所の確保その他の準備行為を行う活動の期間が含まれます。
事業計画書については、在留資格決定時に提出するものについて、その計画に具体性と合理性が認められ、かつ実現可能なものであるかを評価するものとして、経営に関する専門的な知識を有する者の確認が義務づけられました。施行日時点で該当するのは、中小企業診断士、公認会計士、税理士です。
評価者は、申請人が経営する会社の役員や従業員では認められません。客観性の確保が理由で、外部顧問となっている公認会計士や税理士であれば差し支えないとされています。海外の同種資格、たとえば米国公認会計士は対象になりません。
なお、出入国在留管理庁は、弁護士および行政書士以外の者が官公署に提出する申請書等の書類の作成を報酬を得て業として行うことは、行政書士法違反に当たるおそれがあると注意喚起しています。事業計画書の評価と、申請書類の作成代行は別の役割として整理されています。
審査の取扱いも変わった
基準以外の運用面でも、いくつかの変更が示されています。
| 項目 | 取扱い |
|---|---|
| 事業所 | 自宅を事業所と兼ねることは原則として認められない |
| 事業内容 | 業務委託を行うなどして経営者としての活動実態が十分に認められない場合は該当しない |
| 永住許可 | 改正後の許可基準に適合していない場合、「経営・管理」等からの永住許可は認められない |
| 在留中の出国 | 正当な理由なく長期間の出国をしていた場合、在留期間更新は認められない |
| 公租公課 | 更新時に労働保険、社会保険、国税・地方税の履行状況を確認する |
| 許認可 | 事業に必要な許認可の取得状況等を証する資料の提出を求める |
長期間の出国については、決定された在留期間のうち累計でその過半を超える期間について再入国許可による出国をしている場合、正当な理由があるときを除いて、更新審査で消極的な要素として評価されるとされています。
経営者としての活動実態が認められない例としては、業務の大半を外部に委託し日常的に本人による経営活動を行っていない場合や、具体的な事業内容や財務状況など経営者として本来把握すべき情報を把握していない場合が挙げられています。
すでに「経営・管理」で在留している場合の更新については、施行日から3年間の経過措置が設けられています。詳しくは経営管理ビザの更新と経過措置|2028年10月までの扱いで扱っています。
よくある質問
資本金3,000万円は、借入金でも構いませんか。
基準となるのは払込済資本の額または出資の総額です。資金の出どころがどこであっても、資本金として払い込まれていれば額としては算入されますが、事業計画の合理性や資金の適正性は審査の対象になります。調達の経緯を説明できる資料を準備してください。
常勤職員は、いつまでに雇用していればよいのですか。
許可基準として求められるものなので、申請の時点で雇用の実態を示せる状態にしておく必要があります。常勤職員が複数名いる場合、全員分の書類提出は必ずしも必要なく、少なくとも1名が基準を満たすことを確認できれば差し支えないとされています。
決算期が来ていないため、貸借対照表を作れません。
決算期が到来していない場合でも、設立時または設立後の任意の時点における貸借対照表を作成して提出してください。提出できない旨の説明では足りません。
許認可が必要な事業ですが、在留許可を受けないと取得できません。
あらかじめ取得できないことに正当な理由があると認められる場合には、次回の在留期間更新許可申請時に取得状況を確認することになります。取得できない具体的な理由を説明した文書を、様式自由で提出してください。
まとめ

2025年10月16日に施行された改正により、在留資格「経営・管理」では、常勤職員1人以上の雇用、3,000万円以上の資本金等、B2相当以上の日本語能力、関連分野の学位または3年以上の職歴、事業計画書に対する専門家の確認という5つの要件をすべて満たす必要があります。
常勤職員の範囲は要件ごとに異なり、資本金の意味は法人と個人事業主で違います。日本語能力は申請者本人でなく常勤職員が満たしていても構いません。自宅兼事務所が原則として認められなくなった点、永住許可や更新審査への影響が明示された点も含め、準備すべき事項は金額だけにとどまりません。申請の前に、どの要件をどの資料で示すかを一つずつ組み立ててください。
