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浄化槽工事業の登録・届出とは?それぞれの違いと必要なケースを徹底解説!
浄化槽工事を仕事として請け負うには、浄化槽法に基づき、都道府県知事への登録または届出が必要です。「自分の場合はどちらが必要なのか」「どんな要件を満たせばよいのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事は、許認可手続きを専門とする行政書士が、浄化槽工事業の制度をわかりやすく整理したものです。これから浄化槽工事業を始める方が、最初につまずきやすいポイントまで押さえて解説します。
結論:浄化槽工事には登録か届出が必須
まず結論からお伝えします。浄化槽工事を請け負うには、浄化槽法に基づく都道府県知事への手続きが欠かせません。
手続きの種類は、保有している建設業許可によって分かれます。建設業法に基づく土木工事業・建築工事業・管工事業のいずれの許可も受けていない場合は「登録」が必要です。一方、これらのいずれかの許可を受けている場合は「届出」で足ります。
なぜ手続きが2種類に分かれているのでしょうか。これは、建設業許可をすでに取得している事業者は、技術力や経営の適正さについて一定の審査を経ているとみなされるためです。そのため、より簡素な「届出」で対応できる仕組みになっています。なお、届出を行った浄化槽工事業者のことを特例浄化槽工事業者と呼びます。
浄化槽工事業の登録・届出制度とは
浄化槽工事業とは、浄化槽の設置、またはその構造や規模の変更をする工事を指します。家庭用の小型浄化槽から、施設向けの大型浄化槽まで、設置にかかわる工事が広く対象となります。
これらの工事を請け負う浄化槽工事業を営もうとする者は、浄化槽工事を受注・施工する前に、知事への登録または届出を済ませておかなければなりません。手続きをせずに工事を行うことは認められていないため、開業準備の早い段階で着手することが大切です。
ここで初心者が間違えやすいのが、手続きを行う「単位」です。登録・届出は、営業所の所在地とは関係なく、実際に工事を行おうとする区域を管轄するすべての都道府県ごとに、それぞれの知事あてに行う必要があります。たとえば、本店が東京にあっても、千葉と埼玉でも工事を行うなら、それぞれの県知事への手続きが求められます。「本店所在地で1回手続きすれば全国で工事できる」と誤解しやすいため、注意しましょう。
登録と届出の違いを比較表で解説
登録と届出では、対象者・有効期間・申請手数料が大きく異なります。自分がどちらに該当するかを、以下の比較表で確認してください。
| 区分 | 項目 | 内容 |
|---|---|---|
| 登録 | 必要とする者 | 建設業法に基づく土木工事業、建築工事業、管工事業のいずれの許可も受けていない者 |
| 有効期間 | 5年間 | |
| 申請手数料 | 新規 33,000円 更新 26,000円 |
|
| 届出 | 必要とする者 | 建設業法に基づく土木工事業、建築工事業、管工事業のいずれかの許可を受けている者 |
| 有効期間 | 建設業の許可を有している間 ※建設業許可の更新を行った際には、その都度、浄化槽工事業においても変更届の提出が必要 |
|
| 申請手数料 | なし |
表からわかるとおり、届出は手数料がかからず、有効期間も建設業許可と連動するため、負担が軽い手続きといえます。ただし、見落としやすいのが届出特有の落とし穴です。建設業許可を更新したときは、浄化槽工事業についてもその都度、変更届の提出が必要になります。建設業許可の更新だけで手続きが完了したと思い込むと、届出内容が実態と合わなくなるおそれがあるため気をつけましょう。
一方、登録は5年ごとの更新が必要です。更新を忘れると登録が失効し、工事を続けられなくなります。許可の有効期限は早めにカレンダーへ控えておくことをおすすめします。
登録・届出の2つの要件
登録・届出を受けるには、次の要件を満たしている必要があります。大きく分けて「浄化槽設備士の設置」と「欠格要件に該当しないこと」の2点です。
(1) 営業所ごとに浄化槽設備士が設置されていること
浄化槽工事業者・特例浄化槽工事業者は、営業所ごとに浄化槽設備士(浄化槽工事の技術上の管理を行う国家資格者)を置かなければなりません。そして、浄化槽工事を行うときは、これを浄化槽設備士に実地に監督させる必要があります。
これは、浄化槽の施工不良が、水質汚濁や衛生上のトラブルに直結しかねないためです。専門知識を持つ技術者が現場を管理することで、施工品質と安全性を確保するねらいがあります。
「営業所ごとに置く」とは、その営業所に勤務して職務に従事させることをいい、他の営業所で設置が義務付けられている浄化槽設備士となっている者は兼務できません。
「営業所」とは、常時浄化槽工事の施工に関する業務を行う事務所を指します。したがって、浄化槽工事の請負契約の締結等のみを行い、具体的な浄化槽工事の施工に関する業務を行っていない事務所は、浄化槽法にいう「営業所」には該当しません。
なお、申請件数が多い手続きの中でも、この浄化槽設備士の確保は開業時のハードルになりやすいポイントです。資格者を社内に確保できるか、開業計画の段階で早めに見通しを立てておくと安心です。
(2) 欠格要件に該当していないこと
以下の欠格要件に該当する者は、登録および届出を受けることができません。役員や法定代理人にも及ぶため、法人の場合は特に注意が必要です。
①浄化槽法又は同法に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者
②浄化槽工事業の登録を取り消され、その処分のあった日から2年を経過しない者(浄化槽工事業者が法人である場合には、その処分のあった日前30日以内にその法人の役員であった者を含む。)
③都道府県知事より事業の停止を命じられ、その停止期間が経過しない者
④暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)
⑤申請書類中に重要な事項について虚偽の記載をしたり、重要な事実の記載を欠いているとき。
⑥浄化槽工事業に係る営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者で、その法定代理人が①から⑤までに該当するもの
⑦法人でその役員のうちに①から⑥までに該当する者があるもの
⑧暴力団員等がその事業活動を支配する者
これらの欠格要件は、不適格な事業者を排除し、利用者が安心して工事を依頼できる環境を守るために定められています。過去の処分歴や役員構成によっては、思わぬところで該当する場合もあるため、申請前に自社の状況を一つひとつ確認しておきましょう。
登録・届出後に課される3つの義務
登録・届出を行ったあとは、浄化槽法に基づき、以下の事項を遵守しなければなりません。許可を取って終わりではなく、取得後の継続的な義務がある点を押さえておきましょう。
標識の掲示(法第30条)
その営業所および浄化槽工事現場ごとに、国土交通省令で定める事項を記載した標識を、見やすい場所に掲げなければなりません。これは、発注者や周辺住民が、誰が責任を持って工事を行っているのかを確認できるようにするための仕組みです。営業所だけでなく工事現場ごとに必要となる点を忘れないようにしましょう。
帳簿の備え付け(法第31条)
営業所ごとに帳簿を備え、業務に関し国土交通省令で定める事項を記載して、これを保存しなければなりません。帳簿は、工事の内容や実績を後から確認できるようにする、重要な記録です。
帳簿は、添付書類(処理方式及び処理能力を記載した書面・構造図・仕様書・処理工程図)とともに、各営業年度の末日をもって閉鎖し、5年間の保存が義務付けられています。許可取得後によくある見落としが、この帳簿の整備です。日々の工事記録をこまめに残しておくことで、後の保存義務にもスムーズに対応できます。
変更が生じたときの届出
登録・届出の内容に変更が生じた場合は、所定の手続きが必要です。とくに届出(特例浄化槽工事業者)の場合、前述のとおり建設業許可を更新したときは、その都度、浄化槽工事業についても変更届を提出しなければなりません。建設業許可の管理とあわせて、浄化槽工事業の手続きも忘れずに行いましょう。
申請前に確認したい注意点
浄化槽工事業の手続きでつまずきやすいポイントを、あらためて整理します。開業準備の段階でチェックしておくと、スムーズに進められます。
- 工事を行う都道府県ごとに手続きが必要:複数県で工事をするなら、その数だけ登録・届出が必要です。
- 工事の受注・施工より前に手続きを完了させる:手続き前の工事は認められません。
- 営業所ごとに浄化槽設備士を確保する:兼務は不可。資格者の確保が前提となります。
- 建設業許可の更新時は変更届も忘れない:届出の事業者が特に見落としやすい点です。
- 登録は5年ごとの更新が必要:失効すると工事が続けられなくなります。
なお、申請の必要書類や手数料、運用の細かな取り扱いは、都道府県によって異なる場合があります。※最新の要件や提出先は、必ず工事を行う区域を管轄する都道府県の窓口にご確認ください。(2026年6月現在の情報をもとに解説しています。)
よくある質問(FAQ)
浄化槽工事業の登録・届出について、よく寄せられる疑問をまとめました。
Q1. 登録と届出はどちらを選べるのですか?
選択できるものではありません。建設業法に基づく土木工事業・建築工事業・管工事業のいずれかの許可を受けている場合は「届出」、いずれの許可も受けていない場合は「登録」と、保有する許可によって自動的に決まります。
Q2. 複数の都道府県で浄化槽工事をする場合、手続きは1回でよいですか?
いいえ。営業所の所在地に関わらず、実際に工事を行おうとする区域を管轄するすべての都道府県ごとに、それぞれの知事あてに登録または届出が必要です。工事を行う県の数だけ手続きが発生します。
Q3. 浄化槽設備士は他の営業所と兼務できますか?
できません。浄化槽設備士は、その営業所に勤務して職務に従事する必要があり、他の営業所で設置が義務付けられている浄化槽設備士を兼務させることは認められていません。
Q4. 登録の有効期間はどれくらいですか?
登録の有効期間は5年間です。引き続き浄化槽工事業を営む場合は、更新の手続き(更新手数料26,000円)が必要になります。一方、届出(特例浄化槽工事業者)は、建設業の許可を有している間が有効期間となります。
Q5. 帳簿はどのくらい保存すればよいですか?
帳簿は、所定の添付書類(処理方式及び処理能力を記載した書面・構造図・仕様書・処理工程図)とともに、各営業年度の末日をもって閉鎖し、5年間保存する必要があります。
まとめ
浄化槽工事を請け負うには、浄化槽法に基づき、都道府県知事への登録または届出が必要です。建設業法に基づく土木工事業・建築工事業・管工事業のいずれかの許可があれば「届出」、なければ「登録」となります。
いずれの場合も、営業所ごとに浄化槽設備士を置くこと、欠格要件に該当しないことが要件です。さらに、取得後も標識の掲示や帳簿の備え付けといった義務が続きます。とくに、工事を行う都道府県ごとに手続きが必要な点、建設業許可の更新時に変更届が必要な点は見落としやすいため、注意しましょう。
浄化槽工事業の登録・届出は、要件の確認や書類の準備に手間がかかる手続きです。スムーズな開業のためにも、不明な点は早めに専門家や管轄窓口へ相談し、計画的に進めることをおすすめします。

