指定給水装置工事事業者の指定とは?3つの要件を解説

水道工事で「指定給水装置工事事業者」という言葉を見たことはないでしょうか。新築住宅に水道を引き込む工事などを請け負うには、この指定(各水道事業者から受ける施工資格)が欠かせません。

とはいえ、要件や申請の流れは複雑で、どこから手をつけてよいか迷う方も多いところです。本記事では、許認可手続きを専門とする行政書士の視点から、制度の全体像をやさしく整理します。

目次

指定給水装置工事事業者とは?

新築住宅などに新しく水道を引き込む際は、公共の上水道の配管に孔(あな)をあけて水を引く工事が必要です。この工事を給水装置工事と呼びます。

給水装置工事は、誰でも自由にできるわけではありません。水道法および各自治体の条例にもとづき、各水道事業者から指定給水装置工事事業者の指定を受けた者でなければ施工できないと定められています。

なぜ、ここまで厳格な仕組みになっているのでしょうか。理由は、給水装置工事が利用者の健康に直結するためです。適正な工事が行われないと、水質の異常や漏水といった被害が生じるおそれがあります。だからこそ、施工する事業者の技術力や設備をあらかじめ確認し、安全性を担保しているわけです。

つまり指定制度は、「安全な水を届けるための入口の審査」と言い換えられます。水道工事を事業として行うなら、避けて通れない手続きと考えてよいでしょう。

給水装置の概念図
画像:厚生労働省「指定給水装置工事事業者制度について」より引用

指定給水装置工事事業者の3つの要件

指定を受けるために必要な要件は水道法で定められており、大きく分けて3つあります。いずれか一つでも欠けると指定は受けられません。まずは全体像を表で確認しましょう。

要件内容ポイント
①主任技術者の選任事業所ごとに給水装置工事主任技術者を配置国家資格者が必要
②機械器具の保有国土交通省令で定める器具を有する設備面の要件
③欠格事由なし法定の欠格事由に該当しない信用・適格性の要件

それぞれの中身を、以下で詳しく見ていきます。

要件①:事業所ごとに給水装置工事主任技術者を置くこと

1つ目は、給水装置工事主任技術者(国家資格)を選任し、事業所に配置することです。主任技術者とは、給水装置工事に関する技術上の管理などの職務を担う、いわば現場の責任者にあたる人です。

注意したいのは、この資格の受験要件です。給水装置工事主任技術者試験を受けるには、給水装置工事に関して3年以上の実務経験が求められます。資格者がいなければ指定そのものが受けられないため、人材の確保が最初のハードルになりやすい点です。

ちなみに、事業所が複数ある場合は「事業所ごと」に主任技術者を置く必要があります。1人がすべての拠点を兼ねられるわけではない点に気をつけましょう。

要件②:国土交通省令で定める機械器具を有すること

2つ目は、適正な工事を行うための機械器具をそろえていることです。具体的には、次のような器具の保有が求められます。

  • 管の切断用器具
  • 管の加工用器具
  • 水圧テストポンプ など

これらは、配管を正確に切断・加工し、施工後の水圧を確認するために欠かせない道具です。設備が不十分だと適正な施工品質を保てないため、要件として明確に位置づけられています。申請の際は、保有する器具を「機械器具調書」にまとめて示すことになります。

要件③:欠格事由に該当しないこと

3つ目は、水道法に定める欠格事由に当てはまらないことです。これは、信用や適格性の面から事業者をチェックする要件といえます。水道法に定められる欠格事由は次のとおりです。

イ 心身の故障により給水装置工事の事業を適正に行うことができない者として国土交通省令で定めるもの
ロ 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
ハ この法律に違反して、刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
ニ 第二十五条の十一第一項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から二年を経過しない者
ホ その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
ヘ 法人であつて、その役員のうちにイからホまでのいずれかに該当する者があるもの

特に見落としやすいのが「ヘ」です。法人の場合、役員の一人でもイからホに該当すると、法人全体が欠格となります。会社として申請するときは、自社だけでなく役員個々の状況も確認しておくと安心です。

指定給水装置工事事業者の申請方法

続いて、実際の申請の流れを確認します。手続き自体はシンプルですが、書類の準備に時間がかかりやすいため、早めの着手がおすすめです。大きな流れは次のとおりです。

  1. 必要書類を準備する
  2. 申請手数料を確認・納付する
  3. 電子申請、または所轄の窓口へ提出する
  4. 審査を経て指定を受ける

提出方法は、電子申請もしくは所轄の窓口への提出から選べます。お住まいの地域の水道事業者がどちらに対応しているかを、事前に確認しておきましょう。

申請に必要な書類(東京都の場合)

必要書類は自治体によって異なります。一例として、東京都の場合は以下の書類が必要です。

  • 指定給水装置工事事業者指定申請書
  • 機械器具調書
  • 誓約書
  • 給水装置工事主任技術者選任・解任届出書
  • 選任する給水装置工事主任技術者の免状(写し)又は技術者証(写し)
  • 賃貸借契約書又は公共料金等の支払証の写し
  • 指定給水装置工事事業者証確認書
  • 定款の写し(法人の場合)

このように、資格を証明する書類と、事業所の実在を示す書類の両方が求められます。法人の場合は定款の写しも必要になるため、個人での申請より準備物がやや増える点を押さえておきましょう。

申請手数料の目安

申請には手数料がかかります。東京都の場合は9,400円です。ただし金額は自治体によって異なるため、必ず申請先の水道事業者で確認してください。

※申請先や手数料、必要書類は管轄の窓口によって取り扱いが異なります。最新の要件は、必ず所轄の水道事業者の窓口にご確認ください。

指定後の更新と変更届出のルール

指定は一度受けたら終わり、ではありません。指定給水装置工事事業者は更新制となっており、その後の手続きを怠ると、せっかくの指定を失うおそれもあります。ここは特に注意したいポイントです。

5年ごとの更新が必要

指定には有効期間があり、5年ごとの更新が必要です。更新を忘れると指定の効力が切れ、給水装置工事を続けられなくなります。期限が近づいたら早めに更新手続きを進めましょう。

変更があったときは30日以内に届出

申請時の内容(名称や所在地など)に変更があった場合は、変更があった日から30日以内に変更の届出が必要です。引っ越しや商号変更のタイミングは、届出の期限を意識しておくと安心です。

主任技術者の選任・解任は「遅滞なく」届出

給水装置工事主任技術者を新たに選任、または解任した場合は、遅滞なくその届出を行わなければなりません。さらに重要なのが、主任技術者が欠けたときの対応です。

主任技術者が欠けた日から2週間以内に、新たな主任技術者を選任する必要があります。給水装置工事主任技術者を欠いた状態は「指定の取消し」要件に該当します。退職などで資格者が不在になりそうなときは、後任の確保を最優先で進めてください。

よくある質問(FAQ)

Q1.指定給水装置工事事業者の指定はどこに申請しますか?

工事を行う地域の水道事業者(自治体の水道局など)ごとに申請します。複数の地域で工事を行う場合は、それぞれの水道事業者で指定を受ける必要があります。

Q2.給水装置工事主任技術者がいなくても申請できますか?

できません。事業所ごとに主任技術者を配置することが指定の要件です。資格者の確保が、申請準備の最初のステップになります。

Q3.指定の有効期間はどのくらいですか?

有効期間は5年です。期間満了後も事業を続けるには、更新手続きが必要になります。

Q4.主任技術者が退職してしまったらどうなりますか?

欠けた日から2週間以内に新たな主任技術者を選任しなければなりません。欠いた状態が続くと「指定の取消し」要件に該当するため、早急な対応が求められます。

Q5.申請手数料はどこでも同じですか?

いいえ。手数料は自治体によって異なります。東京都の場合は9,400円ですが、申請先によって金額が変わるため、事前の確認が必要です。

まとめ

指定給水装置工事事業者の指定は、安全な給水装置工事を行うための重要な仕組みです。最後に要点を整理します。

  • 給水装置工事には水道事業者からの「指定」が必要
  • 指定の要件は「主任技術者の選任」「機械器具の保有」「欠格事由なし」の3つ
  • 申請は電子申請または窓口へ。必要書類と手数料は自治体ごとに異なる
  • 指定は5年ごとの更新制。変更時は30日以内、主任技術者の欠員は2週間以内の対応が必須

要件の確認や書類の準備には、専門的な判断が必要になる場面も少なくありません。手続きに不安がある場合は、許認可を専門とする行政書士に相談することで、スムーズな指定取得につながります。

※本記事は2026年6月時点の情報をもとに執筆しています。制度や要件は改正される場合があるため、最新の内容は管轄の水道事業者の窓口にご確認ください。

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