賃金台帳とは?作成義務・記載内容・保存期間をわかりやすく解説
事業主が従業員を雇う際に必ず整備しなければならない書類の一つが「賃金台帳(ちんぎんだいちょう)」です。
給与計算を行ううえでの基礎資料であり、労働基準法上も作成・保存が義務づけられています。
一部の許認可や補助金・助成金の申請で添付書類として必要になることがあります。
目次
賃金台帳とは
賃金台帳とは、従業員一人ひとりに支払われる賃金の内容を明確にするための帳簿です。労働基準法第108条第109条の規定により、使用者は賃金台帳を作成し、5年間保存する義務があります。
この台帳には、単なる給与明細の写しではなく、「労働時間」「休日」「時間外労働」など、労務管理に関する詳細な情報を記載する必要があります。
賃金台帳に記載しなければならない項目
労働基準法施行規則第54条では、賃金台帳に記載すべき項目として、次の内容が定められています。
- 労働者の氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働・休日労働・深夜労働の時間数
- 基本給・手当など賃金の種類ごとの金額
- 賃金の控除額
- 差引支給額(実際に支払われる金額)
賃金台帳の作成様式
法令上、賃金台帳の「形式」は指定されていません。紙で作成しても、エクセルなどの電子データで管理しても問題ありません。
ただし、以下のような点に注意が必要です。
- 労働者ごとに賃金の内訳が明確になっていること
- 賃金計算期間が明示されていること
- 後日、労働基準監督署からの調査に備えてすぐに提示できる状態であること
近年では、クラウド勤怠システムや給与ソフトで自動生成された賃金台帳データを保存しておく企業も増えています。
この場合も、内容が上記項目をすべて満たしていれば法的要件を満たします。
まとめ
- 賃金台帳は、労働基準法第108条に基づき事業主に作成・保存が義務づけられた帳簿
- 行政手続きにおいては一部の許認可や補助金・助成金の申請で必要になることがある
- 労働時間・賃金・控除額など、給与支払いの根拠を記録する重要書類
- 保存期間は5年間
- 電子データでの管理も可能だが、法定項目をすべて満たす必要がある