デジタル化・AI導入補助金2026(通常枠)補助金概要と申請のコツをわかりやすく解説!

中小企業・小規模事業者の生産性向上を後押しするITツール導入補助金「デジタル化・AI導入補助金2026(旧:IT導入補助金)」が、2026年3月30日より交付申請の受付を開始します。

最大450万円の補助が受けられるこの制度の対象・補助額・申請の流れ・採択のポイントを、公募要領(通常枠)に基づいて詳しく解説します。

目次

デジタル化・AI導入補助金2026とは

「デジタル化・AI導入補助金2026」は、中小企業・小規模事業者等がITツール(ソフトウェア・クラウドサービスなど)を導入する際の費用を国が一部補助する制度です。旧称「IT導入補助金」から名称が変わり、2026年度も独立行政法人 中小企業基盤整備機構が支援します。

働き方改革・賃上げ・インボイス制度対応など、企業を取り巻く制度変更に対応しながら生産性を高めることが目的で、AIを搭載したソフトウェアも補助対象に含まれます。本記事では「通常枠」を対象に解説します。

本補助金はIT導入支援事業者(事務局に登録されたベンダー)とのセット申請が必要です。申請者単独での手続きはできません。

補助金の概要:対象・補助額・補助率

対象事業者

日本国内に本社・事業実施場所を有する中小企業・小規模事業者等が対象です。業種ごとの定義は以下のとおりです(資本金または従業員数のいずれかを満たせば対象になります)。

業種区分資本金従業員数
製造業・建設業・運輸業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業(宿泊・ソフトウェア除く)5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
医療法人・社会福祉法人等300人以下

個人事業主・NPO法人・各種組合なども申請できる場合があります。また商業・サービス業は従業員5人以下、製造業その他は20人以下の事業者が「小規模事業者」として扱われ、一部要件が緩和されます。

補助額・補助率・必要プロセス数

補助金申請額補助率必要プロセス数賃上げ目標
5万円〜150万円未満1/2以内(※)1プロセス以上加点項目
150万円〜450万円以下1/2以内(※)4プロセス以上必須要件

(※)令和6年10月〜令和7年9月の期間に「地域別最低賃金以上〜令和7年度改定の地域別最低賃金未満」で雇用している従業員が全従業員の30%以上である月が3か月以上ある場合、補助率が2/3以内に引き上げられます。

補助対象経費はソフトウェア購入費・クラウド利用費(最大2年分)・導入関連費(役務費)です。役務費(コンサルティング・研修・保守サポート等)は合計200万円が上限となります。

補助対象のITツールとプロセス

補助対象は事務局に登録されたITツールに限られます。ソフトウェアには以下の「プロセス」が設定されており、申請するITツールが何種類のプロセスをカバーしているかが補助額の区分を決める重要な要素です。

種別Pコードプロセス名(例)
共通プロセス共P-01顧客対応・販売支援(CRM・SFA・MA等)
共通プロセス共P-02決済・債権債務・資金回収
共通プロセス共P-03供給・在庫・物流
共通プロセス共P-04会計・財務・経営
共通プロセス共P-05総務・人事・給与・労務・教育訓練等
業種特化型各業種P-06業種固有プロセス(建設・製造・医療・介護等)
汎用プロセス汎P-07汎用・自動化・分析ツール(RPA・グループウェア等)

汎用プロセス(汎P-07)のみのITツールは単独申請不可。共通・業種特化型と組み合わせた場合のみ申請できます。

申請要件・加点要件

全申請者に共通する申請要件

  • 日本国内に本社・事業実施場所があること
  • GビズIDプライムを取得していること(発行まで約2週間かかるため早めに準備を)
  • IPA「SECURITY ACTION」で★一つ星または★★二つ星を宣言していること
  • 事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であること
  • 翌事業年度以降3年間の事業計画を策定・実行すること(下記の労働生産性目標を含む)

【労働生産性の目標】

  • 1年後に労働生産性を3%以上向上させること
  • 事業計画期間の年平均成長率を3%以上向上させること

IT導入補助金2023〜2025の通常枠で交付決定を受けた事業者は、上記目標が4%以上に引き上げられます。

【労働生産性の計算式】(営業利益+人件費+減価償却費)÷ 年間の事業者当たり総労働時間

補助申請額150万円以上の追加要件(賃上げ義務)

補助申請額が150万円以上の場合、賃上げ目標が申請要件(必須)となります(小規模事業者等は免除あり)。

  • 事業計画期間において、1人当たり給与支給総額の年平均成長率を3%以上向上させること
  • 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上にすること
  • 上記賃金引上げ計画を交付申請時点で従業員に表明すること

賃上げ計画を表明したと申告したにもかかわらず、実際には表明していなかったことが発覚した場合、交付決定が取り消されます。

加点項目一覧(採択率アップに直結)

以下の取り組みは審査上の加点対象です。負担の少ないものから積極的に活用しましょう。

加点項目内容
クラウド製品の選定クラウド型のITツールを導入すること
セキュリティサービスの選定「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を選定すること
インボイス対応製品の選定インボイス制度対応製品を選定すること
賃上げ計画(150万円未満)最低賃金+30円以上、給与年平均成長率3%以上を計画し表明
賃上げ計画(150万円以上)最低賃金+50円以上の水準にすること
IT戦略ナビwithの実施中小機構の「IT戦略ナビwith」を申請前に実施しPDFを添付
健康経営優良法人2026認定令和7年度に認定を受けていること
くるみん・えるぼし認定次世代法・女性活躍推進法に基づく認定を受けていること
成長加速マッチングサービス登録中小企業庁のマッチングサービスに挑戦課題を登録(「掲載中」ステータスが必要)
省力化ナビの活用中小機構「省力化ナビ」をGビズIDで活用していること
最低賃金近傍の事業者令和6年10月〜令和7年9月に最低賃金近傍で30%以上の従業員が3か月以上
事業場内最低賃金の引上げ令和7年7月の事業場内最低賃金+63円以上にしていること

加点申告した要件が未達だった場合、効果報告から18か月間、中小企業庁が所管する他の補助金(ものづくり補助金・持続化補助金等)で大幅に減点されます。確実に達成できる範囲で申告しましょう。

申請〜採択までの流れ

全体スケジュール

フェーズ時期・期間主な内容
事前準備申請前(随時)GビズIDプライム取得、ITツール選定、IT導入支援事業者との相談
交付申請2026年3月30日〜申請マイページ開設・申請書類の作成・提出
審査・交付決定申請後(随時)事務局による審査→採択結果の通知
補助事業の実施交付決定日〜約6か月ITツールの契約・導入・代金支払い
実績報告事業完了後支払証憑等を提出→補助金額確定・交付
効果報告(1〜3年目)2028年4月〜2031年1月労働生産性・賃金等の実績値を年1回報告

申請ステップ詳細

STEP
GビズIDプライムを取得する

発行まで約2週間かかります。法人の場合は印鑑証明書(原本)と印鑑証明書が必要です。最優先で手続きを開始しましょう。

STEP
IT導入支援事業者を探して相談・商談を行う

IT導入支援事業者は事務局のポータルサイトから検索できます。申請から効果報告まで伴走支援してくれる事業者を選ぶのがポイントです。

STEP
事前準備(SECURITY ACTION宣言・加点対応)

IPAの「SECURITY ACTION」★一つ星以上を宣言。余裕があれば「IT戦略ナビwith」の実施・「省力化ナビ」の活用・「成長加速マッチングサービス」登録も済ませておくと加点につながります。

STEP
必要書類を準備する

法人→履歴事項全部証明書(3か月以内)・法人税納税証明書(その1またはその2)・貸借対照表および損益計算書
個人事業主→本人確認書類・所得税納税証明書・確定申告書の控え・青色申告決算書または収支内訳書

STEP
申請マイページを開設し、交付申請を提出する

IT導入支援事業者から「申請マイページ」への招待を受け、申請者情報・事業計画・ITツール情報を入力。内容を確認のうえ事務局へ申請を提出します。

STEP
審査・交付決定を待つ

事務局が書類審査を行い、外部審査委員会の意見を踏まえて採択を決定します。審査内容・不採択理由は開示されません。

STEP
ITツールの契約・導入・支払いを行う(交付決定後に!)

交付決定通知を受けてから契約・発注・支払いを行います。支払いは銀行振込またはクレジットカード1回払いのみ。交付決定前の支払いは補助対象外になるため注意が必要です。

STEP
実績報告を提出→補助金交付

請求書・支払証憑・ITツール利用画面のキャプチャ等を添付して実績報告を提出します。確定検査後に補助金が交付されます。

STEP
効果報告を3年間提出する

補助金交付後も年1回、3年間にわたり営業利益・人件費・減価償却費・総労働時間・給与・最低賃金等の実績値を報告する義務があります。

申請は1事業者につき1回のみ(通常枠)。一度提出した申請は採択結果が公表されるまで原則取下げ不可です。提出前に内容を十分に確認してください。

申請にあたっての重要ポイントと注意事項

採択率を高める申請のコツ

① 自社の課題とITツールの機能を明確に結びつける

審査では「自社の経営課題を理解し、導入するITツールの機能と期待効果がマッチしているか」が最重視されます。「便利そうだから」ではなく、「〇〇の業務課題を解決するために△△の機能を持つツールを導入する」という論理的な説明が求められます。事業計画書はIT導入支援事業者と丁寧に作成しましょう。

② 加点項目を最大限に活用する

加点項目はそのまま採択率に直結します。特に負担が少ない「IT戦略ナビwithの実施」「省力化ナビの活用」「成長加速マッチングサービスへの登録」は申請前に済ませておきましょう。クラウド型ツールの選定も加点対象です。

③ 賃上げ計画は確実に達成できる目標で

賃上げ計画を申告した場合、目標が未達成だと補助金の返還(最大全額)を求められます。自社の財務状況を踏まえた、現実的かつ達成可能な計画を立てることが重要です。

④ 過去の採択プロセスと重複しないITツールを選ぶ

IT導入補助金2024・2025で交付決定を受けたソフトウェアのプロセスと、今回導入するソフトウェアのプロセスが重複すると減点対象になります。完全に一致する場合は不採択となるため、IT導入支援事業者と過去の採択内容を確認のうえツールを選定してください。

申請時・実施中の主な注意事項

補助対象外となる主な経費

  • 交付決定前に購入・契約したITツール
  • リース・レンタル契約のITツール(サイバーセキュリティお助け隊サービスを除く)
  • 中古品
  • 交通費・宿泊費・申請代行費
  • 消費税(公租公課)
  • 無料ツール(対外的に無償で提供されているもの)

支払方法は厳守

ITツール代金の支払いは「銀行振込」か「クレジットカード1回払い」のみです。現金払い・分割払い・ポイント・クーポンを利用した実質値引きなどは不正行為とみなされ、交付決定の取消しや補助金返還の対象となります。

書類の5年間保管義務

補助事業に関するすべての書類(契約書・請求書・支払証憑・納品書等)は、事業完了年度の翌年度から5年間保管する義務があります。事務局や会計検査院から提出を求められた際に速やかに対応できるよう、整理して保管してください。

効果報告における賃上げ目標の未達ペナルティ

補助金交付後の効果報告は3年間の義務です。賃上げ目標が必須となる申請者は以下のペナルティに注意してください。

ケース返還額
事業場内最低賃金の目標が1年目で未達全額返還
事業場内最低賃金の目標が2年目で未達補助金額の2/3を返還
事業場内最低賃金の目標が3年目で未達補助金額の1/3を返還
1人当たり給与支給総額の年平均成長率が3年目で未達原則、全額返還

ただし、付加価値額の年平均成長率が1.5%未満にとどまった場合や、天災など事業者の責めに帰さない理由がある場合は返還が免除されます。

まとめ:申請成功の3つのカギ

デジタル化・AI導入補助金2026は、最大450万円の補助でITツール導入を後押しする強力な制度です。ただし補助金交付後も3年間の効果報告義務・賃上げ目標の達成責任が伴います。申請成功のためには次の3点を意識することが重要です。

  • 早めの事前準備
    • GビズIDプライムの取得やSECURITY ACTION宣言は時間がかかります。申請受付開始を待たずに今すぐ着手しましょう。
  • 信頼できる支援事業者の選定
    • 申請から3年間の効果報告まで伴走支援してくれる、実績豊富なIT導入支援事業者を選ぶことが採択への近道です。
  • 現実的な事業計画の策定
    • 自社の課題と導入ツールを論理的に結びつけ、財務状況を踏まえた達成可能な賃上げ・生産性目標を設定しましょう。

【ご注意】本記事の内容は2026年3月時点の公募要領(通常枠)に基づいています。制度内容・スケジュール等は変更される場合があります。最新情報は中小企業デジタル化・AI導入支援事業ポータルサイト(https://it-shien.smrj.go.jp/)にてご確認ください。

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