戸籍謄本と戸籍抄本の違いとは?取得方法や本人以外の取得についても解説
申請書類に添付する必要が多いものの1つに、戸籍謄本があります。戸籍抄本不可と注記のあるものもありますが、意外とこの違いを把握している方は少ないのではないでしょうか。
戸籍謄本と抄本の基本的な違い
謄本と抄本の違いは難しくなく、戸籍の全員分を記載しているか、一部の方のみを記載しているかの違いです。
戸籍謄本(「戸籍全部事項証明書」)
→ その戸籍に記載されている全員分の情報を写したもの。
戸籍抄本(現在は「戸籍個人事項証明書」)
→ 戸籍の中から必要な人だけを抜き出したもの。
では、「戸籍」とはそもそも何なのでしょか?
戸籍は日本人の身分関係を証明する
戸籍とは、日本人の出生、婚姻、死亡などの身分関係を記録し、法的に証明するための「家族の台帳」のようなものです。戸籍の主な特徴として、以下が挙げられます。
- 本籍地ごとに市区町村役場で管理されている
- 一人ひとりについて「出生」「婚姻」「離婚」「死亡」などの情報が記録される
- 家族単位で編成され、通常は夫婦と未婚の子どもが一つの戸籍に入る
つまり、戸籍は 「その人が誰の子で、誰と結婚していて、いつ生まれ、いつ亡くなったのか」 など、身分関係を国が公式に証明する唯一の公的記録です。
基本は夫婦+子供の単位で戸籍は編製され、子供は結婚すると親の戸籍を抜けて新たな戸籍を配偶者と共に作成します。ちなみに、結婚しなくても親の戸籍を抜ける「分籍」という方法もあります。一度抜けた戸籍には戻ることはできません。
どんなときに使う?
同じ戸籍に属する家族が複数人いる場合、全員の記録が必要なら「謄本」、本人だけで足りるなら「抄本」を使うのが用途の違いということになります。
謄本(全部事項証明書)が必要になる場面
- 相続手続きで被相続人の出生から死亡までの戸籍をつなげるとき
- 不動産登記や銀行手続きで「家族全員の関係」を証明する必要があるとき
- 各種裁判手続きや行政手続きで「戸籍全体」を確認する場合
- パスポート申請
なお、パスポート申請で提出する戸籍は、旅券法改正によって、2023年3月から謄本(全部事項証明書)のみとされています。
抄本(個人事項証明書)が使える場面
- 官公庁や企業への本人確認書類として求められる場合
- 各種資格試験の受験申請など
取得方法と費用
取得は本籍地の市区町村でないとできないため、注意が必要です。郵送での取得のほか、自治体によってオンライン請求に対応している場合があります。オンライン請求の場合、マイナンバーカードを使用してコンビニで発行が可能ですが、事前に手続きが必要です。
手数料は通常、1通450円です。
戸籍謄本は本人以外でも取得できる?
一定の範囲の親族や正当な理由がある人は取得可能です。ただし、誰でも自由に取れるわけではありません。
取得できる人
- 本人(戸籍に記載されている人)
- 配偶者(夫・妻)
- 直系親族(父母・祖父母・子・孫など)
→ 例えば、子どもが親の戸籍謄本を取ることや、親が子どもの戸籍謄本を取ることは可能です。
代理人として請求する場合
- 本人や直系親族からの委任状があれば、第三者(代理人)が取得できます。
- 行政書士や司法書士などが、手続きの代理のために取得するケースもあります。
取得できないケース
- 兄弟姉妹や叔父叔母など、直系以外の親族は原則として請求できません。
- 戸籍に関係のない第三者が勝手に取ることもできません。
→相続手続きでは「被相続人の兄弟姉妹」も相続人になる場合がありますが、この場合、兄弟姉妹本人は直接戸籍を請求できず、相続手続きを進める立場にある人(遺言執行者や相続人代表)が委任状をつけて請求する必要があります。
まとめ
謄本(全部事項証明書)=戸籍全員分
抄本(個人事項証明書)=必要な人だけ
目的によってどちらが必要か変わるため、事前に提出先へ確認することが大切です。