建設業許可の要件【2026年最新】許可基準と欠格要件を徹底解説

建設業許可の取得を検討している方にとって、「どのような要件を満たせばよいのか」は申請前に必ず確認すべき最重要事項です。建設業法(昭和24年法律第100号)第7条および第15条では、許可を受けるための基準が明確に規定されており、この基準を1つでも満たさなければ許可は受けられません。

建設業許可の申請件数が多い中で、要件の確認が不十分なまま書類を提出してしまい、補正指示や不許可となるケースが後を絶ちません。申請前に各要件の内容をしっかりと把握しておくことが、スムーズな許可取得への第一歩となります。

※本記事の情報は2026年4月現在のものです。最新の要件は管轄の都道府県庁または地方整備局にご確認ください。

目次

建設業許可が必要な工事の範囲と許可の種類

建設業を営む場合、原則として建設業法第3条に基づく建設業許可が必要です。ただし、「軽微な工事」に該当する場合に限り、許可なく施工することができます。軽微な工事とは、建築一式工事では請負金額1,500万円未満または延べ面積150㎡未満の木造住宅工事、その他の建設工事では請負金額500万円未満の工事を指します。この金額は税込みで判断される点に注意が必要です。

建設業許可には、国土交通大臣許可(2つ以上の都道府県に営業所を置く場合)と都道府県知事許可(1つの都道府県のみに営業所を置く場合)の区別があります。また、下請に出す工事の金額に応じて、一般建設業許可特定建設業許可に分かれます。特定建設業許可が必要となるのは、発注者から直接請け負った工事で下請総額が4,500万円以上(建築工事業の場合は7,000万円以上)となる場合です。

建設業許可は、土木工事業・建築工事業・大工工事業をはじめとする29業種に分かれており、営む業種ごとに許可を取得する必要があります。たとえば、内装仕上工事業と大工工事業を兼業する場合は、それぞれの業種で許可を取得することが求められます。

建設業許可の4つの許可基準(概要)

建設業法では、許可を受けるための基準(許可基準)として以下の4つの要件が定められています。申請の際は、これらすべてを同時に満たしていることが必要です。1つでも欠けると許可は下りません。

  1. 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有すること(建設業法第7条第1号)
  2. 営業所ごとに専任技術者(営業所技術者)を置くこと(建設業法第7条第2号・第15条第2号)
  3. 不正または不誠実な行為をするおそれがないこと(誠実性)(建設業法第7条第3号)
  4. 請負契約を履行するに足りる財産的基礎を有すること(建設業法第7条第4号・第15条第3号)

以下では、それぞれの要件について詳しく解説します。

【要件①】経営業務の管理を適正に行う能力

建設業は他の産業と異なり、工事の受注から完成引き渡しまでの期間が長く、複数の専門業者との調整、下請管理、資金繰りなど特有の経営課題があります。施工品質や安全性の確保という観点からも、一定期間の建設業経営経験を持つ人物が組織内に最低1人いることが求められます。

具体的には、次の①または②のいずれかを満たす必要があります。

要件①-(1):常勤役員等の単独要件

法人の場合は常勤の役員のうち1人が、個人の場合は本人または支配人のうちの1人が、以下の(A)〜(C)のいずれかに該当することが必要です。

  • (A)建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
  • (B)建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位(経営業務の執行権限の委任を受けた者に限る)として経営業務を管理した経験を有する者
  • (C)建設業に関し6年以上の経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として、管理責任者を補佐した経験を有する者

要件①-(2):常勤役員等+補佐する者の組み合わせ要件

法人の場合は常勤の役員のうち1人が、個人の場合は本人または支配人のうちの1人が以下の(D)または(E)のいずれかの経験を有する者であり、かつ、その者を直接に補佐する者として、財務管理・労務管理・業務運営のそれぞれについて5年以上の経験を有する者を各1名置くことが必要です。

  • (D)建設業に関し2年以上の役員等としての経験を有し、かつ5年以上の役員等または財務管理・労務管理・業務運営を担当する職制上の地位にある者としての経験を有する者
  • (E)5年以上の役員等としての経験を有し、かつ建設業に関し2年以上の役員等としての経験を有する者

なお、財務管理・労務管理・業務運営の経験は、1人が複数を兼ねることが可能です。

「法人の役員」には、株式会社または有限会社の取締役、指名委員会等設置会社の執行役、持分会社の業務を執行する社員、法人格のある各種組合等の理事が含まれます。

「常勤」とは、主たる営業所において休日等を除き毎日所定の時間中その職務に従事することをいいます。他社の代表取締役として常勤している方や、明らかに通勤不可能な遠隔地に住所がある方は「常勤」とは認められません。

※要件に該当するかどうかは個別の状況によって審査が行われます。管轄の行政庁への事前確認をおすすめします。

社会保険への適正加入も許可の必須要件

2020年10月の建設業法改正により、適正な社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入が許可要件として明確に位置付けられました。法人はすべての保険への加入が原則義務となっており、加入していない場合は許可を受けることができません。個人事業主についても、従業員の人数や雇用形態によっては加入義務が生じます。申請前に保険の加入状況を必ず確認するようにしてください。

【要件②】営業所ごとに専任技術者を置くこと

建設工事の請負契約を適正に締結し、工事を確実に履行するためには、高度な専門知識・技術的経験が不可欠です。このため、すべての営業所に、許可を受けようとする業種ごとに専任技術者(営業所技術者)を置くことが義務付けられています(建設業法第7条第2号・第15条第2号)。

専任技術者に求められる資格・経験の水準は、一般建設業か特定建設業か、またどの建設業種を申請するかによって異なります。

一般建設業の専任技術者の要件

以下の3つの要件のうち、いずれかを満たす必要があります。

  1. 指定学科卒業+実務経験:許可を受けようとする業種に係る建設工事に関し、高等学校・中等教育学校の指定学科卒業後5年以上、または大学・高等専門学校の指定学科卒業後3年以上の実務経験を有する者
  2. 10年以上の実務経験:許可を受けようとする業種に係る建設工事に関し、10年以上の実務経験を有する者(学歴は問わない)
  3. 国家資格等の保有:国土交通大臣が定める国家資格・検定・免許を有する者(例:1級・2級建築施工管理技士、1級・2級土木施工管理技士、1級・2級建築士、各業種に対応する技能検定の1級・2級など)

なお、「指定学科」とは業種ごとに定められており、たとえば土木工事業では土木工学・都市工学・農業土木などが該当します。ご自身の卒業学科が対応する指定学科かどうかは、申請先の行政庁に確認することをおすすめします。実務経験の計算方法や証明書類についても事前確認が重要です。

特定建設業の専任技術者の要件

特定建設業の専任技術者には、一般建設業よりも高度な要件が求められます。基本的には以下の2つのうちいずれかを満たす必要があります。

  1. 国家資格等の保有:国土交通大臣が定める高度な国家資格・免許を有する者(例:1級施工管理技士、1級建築士、技術士など、特定建設業で認められる上位資格)
  2. 一般建設業の要件+指導監督的実務経験:一般建設業の専任技術者の要件を満たしており、かつ元請として請負代金の額が4,500万円以上の建設工事について2年以上の指導監督的な実務経験を有する者

ただし、指定建設業(土木工事業・建築工事業・電気工事業・管工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・造園工事業の7業種)については、施工技術の総合性が特に重視されるため、①の国家資格等の保有のみが認められます。②の実務経験だけでは認められませんので注意してください。

「専任」の者とは、その営業所に常勤して専らその職務に従事する者のことをいいます。同一法人であっても他の営業所の専任技術者を兼ねることはできません。また、現場への専任が必要な主任技術者・監理技術者との兼務も原則として認められていません。

経営業務の管理責任者と専任技術者を同一の人物が兼務することは可能です。ただし、兼務する場合はそれぞれの要件を両方とも個別に満たしていることが必要です。

一般建設業と特定建設業の違いについてはこちらの記事もあわせてご参照ください。

【要件③】誠実性(不正・不誠実な行為をするおそれがないこと)

建設業法第7条第3号では、請負契約の締結や履行に際して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかである場合は許可を受けられないと定められています。建設業が公共の安全・生活環境に直結する産業であることから、許可業者には高い倫理観が求められているためです。

具体的に「不正または不誠実な行為」とみなされる例としては、以下が挙げられます。

  • 請負契約の締結または履行の際の詐欺・脅迫・横領などの法律違反行為
  • 工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担など、請負契約の内容に違反する行為
  • 施工品質を著しく低下させるような手抜き工事の実施

特に注意が必要なのは、建築士法・宅地建物取引業法などの規定により不正・不誠実な行為を行ったとして免許等の取消処分を受け、その最終処分から5年を経過していない者は、原則として「不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者」として扱われる点です。建設業以外の業種での行政処分歴も審査の対象となりますので、他業種の許可・免許に関する処分を受けた経緯がある場合は事前に確認が必要です。

【要件④】財産的基礎等

建設工事を受注・着手するにあたっては、資材の購入、労働者の確保、機械器具の調達など、まとまった準備資金が必要となります。工事代金の回収が竣工後となるケースが多い建設業では、十分な財務基盤がなければ工事の途中で資金ショートするリスクがあります。このため、建設業法第7条第4号および第15条第3号では財産的基礎に関する要件が定められています。

要件の内容は一般建設業と特定建設業で大きく異なります。以下の表で整理します。

区分財産的基礎の要件
一般建設業
(以下のいずれか1つを満たせばよい)
  1. 自己資本が500万円以上であること
  2. 500万円以上の資金調達能力を有すること(金融機関の預金残高証明書・融資可能額証明書等で証明)
  3. 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して建設業を営業した実績を有すること
特定建設業
(以下の4つすべてを満たす必要がある)
  1. 欠損の額が資本金の20%を超えていないこと
  2. 流動比率が75%以上であること
  3. 資本金の額が2,000万円以上であること
  4. 自己資本の額が4,000万円以上であること

一般建設業の財産的基礎

一般建設業では、上表の3つのうちいずれか1つを満たせば足ります。最も一般的なのは「自己資本500万円以上」の確認で、申請直前の決算書(貸借対照表)の純資産の部の合計額で判断されます。

自己資本が500万円に満たない場合でも、金融機関の預金残高証明書や融資可能額証明書によって500万円以上の資金調達能力を証明する方法があります。証明書は申請日から3か月以内に発行されたものが有効となる場合が多いため、タイミングに注意が必要です。

なお、新規に建設業を始める方(創業直後)は「過去5年間の継続営業実績」の要件は使えませんが、自己資本または資金調達能力のいずれかで対応できます。資本金500万円以上で会社を設立した場合は、設立直後でも自己資本要件を満たしやすいといえます。

特定建設業の財産的基礎

特定建設業では、財産的基礎の要件が一般建設業よりも大幅に厳しくなります。上表に示した4つの要件をすべて同時に満たす必要があり、1つでも不足すると許可を受けられません。これは、特定建設業者が元請として多額の下請代金を支払う立場にあることから、下請業者を保護する観点で設けられた要件です。

たとえば、資本金2,000万円以上かつ自己資本4,000万円以上という要件は、設立間もない会社や中小規模の事業者にとってはハードルが高いと感じる場面も少なくありません。特定建設業許可の新規取得や更新の際は、直前の決算書の内容が要件を満たしているかどうかを事前に確認することが不可欠です。決算期によっては、許可の申請タイミングを調整することも検討されます。

欠格要件(建設業法第8条)

許可基準の4要件をすべて満たしていても、申請者や関係者が以下の欠格要件の1つでも該当する場合、建設業許可を受けることはできません(建設業法第8条)。また、許可申請書またはその添付書類に虚偽の記載があった場合や、重要な事実の記載が欠けている場合も許可は行われません。

欠格要件の対象となるのは、申請者本人のほか、法人の役員等・政令第3条に規定する使用人(支店長・営業所長など)です。以下の14の欠格要件が規定されています。

  1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 一般建設業の許可または特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない
  3. 建設業許可の取消処分に係る聴聞通知を受け取った後、廃業の届出をした場合に届出の日から5年を経過しない
  4. 聴聞通知を受け取った日から取消処分がされた日までの間に廃業の届出をした場合、聴聞通知を受け取った日から遡って60日前までの間に廃業届を提出した法人の役員等または政令使用人であった者で、廃業届出の日から5年を経過しない者(個人事業主の政令使用人を含む)
  5. 建設業法第28条第3項または第5項の規定により営業の停止を命ぜられ、停止期間が経過しない
  6. 建設業法第29条の4の規定により営業を禁止され、禁止期間が経過しない
  7. 禁錮以上の刑に処せられ、刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない
  8. 建設業法等に違反したこと、または刑法の罪・暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられ、刑の執行を終わり、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
  9. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員、または暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
  10. 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
  11. 未成年者の法定代理人が建設業法第8条各号のいずれかに該当するもの
  12. 法人の役員等または政令使用人のうちに、建設業法第8条第1号から第4号まで、または第6号から第10号までのいずれかに該当する者がいるもの
  13. 個人で政令使用人のうちに、建設業法第8条第1号から第4号まで、または第6号から第10号までのいずれかに該当する者がいるもの
  14. 暴力団員等がその事業活動を支配する

特に注意が必要なのは、役員等の欠格要件です。申請者本人が問題なくても、取締役の1人が欠格要件に該当するだけで許可を受けることができません。役員変更や新任役員の採用の際は、欠格要件への該当確認を事前に行うことが重要です。許可取得後も、役員に変更があった場合は速やかに変更届を提出する義務があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 経営業務の管理責任者と専任技術者は同じ人が兼務できますか?

はい、兼務することは可能です。ただし、兼務する場合は両方の要件をそれぞれ個別に満たしている必要があります。1人の人物が経営業務管理責任者の経験要件と専任技術者の資格・実務経験の両方を備えていれば、同一人物が兼任できます。小規模事業者では、代表者がこの両役を担うケースがよく見られます。

Q2. 個人事業主でも建設業許可を取得できますか?

はい、取得できます。個人事業主の場合、経営業務の管理責任者の要件は「本人または支配人のうちの1人」が満たせば足ります。専任技術者も同様に、本人または支配人が要件を満たしていれば認められます。ただし、個人事業主として取得した許可は法人成りの際に引き継ぐことができません。法人化の際は、改めて法人として許可を新規申請し直す必要があります。

Q3. 500万円以上の工事を無許可で受注するとどうなりますか?

建設業法第3条違反として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金(あるいはその両方)が科される可能性があります(建設業法第47条)。また、この違反により刑に処された場合は欠格要件に該当するため、その後5年間は建設業許可を取得できなくなります。無許可営業は事業継続に重大なリスクをもたらしますので、該当工事の受注は必ず許可取得後に行うことが重要です。

Q4. 設立直後の新設会社でも建設業許可は取得できますか?

はい、可能です。財産的基礎の要件については、新設会社の場合は「自己資本500万円以上」または「資金調達能力500万円以上」のいずれかで対応できます。資本金500万円以上で設立した会社であれば、決算を経ていなくても自己資本要件を満たしやすくなります。ただし、財産的基礎のほかに経営業務管理責任者・専任技術者の要件も満たす必要があります。経営業務管理責任者については、設立前の前職での経験年数を活用できるケースがあります。

Q5. 社会保険に未加入でも許可申請はできますか?

2020年10月以降は適正な社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険)への加入が許可要件となっているため、未加入の場合は許可を受けることができません。申請の際は加入を証明する書類(標準報酬月額決定通知書・保険料の領収書等)の提出が求められます。加入手続きには一定の期間を要する場合があるため、申請スケジュールに余裕をもって早めに対応することをおすすめします。

まとめ

建設業許可を取得するためには、以下の4つの許可基準をすべて同時に満たし、かつ14の欠格要件のいずれにも該当しないことが必要です。

  1. 経営業務の管理を適正に行う能力:一定の経験を持つ常勤役員等の配置、または補佐体制の整備
  2. 営業所ごとの専任技術者の設置:業種ごとに資格または実務経験を持つ専任の技術者を配置
  3. 誠実性:不正・不誠実な行為をするおそれが明らかでないこと
  4. 財産的基礎:一般建設業は500万円以上の自己資本等(3要件のいずれか)、特定建設業は4要件すべて

各要件の判断は個別の状況によって異なることが多く、一概に「該当する・しない」と判断しにくいケースも少なくありません。特に経営業務管理責任者の経験年数の計算方法、専任技術者の実務経験の認定基準などは、細かい点で差が生じることがあります。

建設業許可の申請は提出書類の種類も多く、要件確認から書類収集・申請まで相当の準備が必要です。スムーズな許可取得のために、管轄の都道府県庁・地方整備局への事前相談や、建設業許可申請を専門とする行政書士への相談を活用することをおすすめします。

※最新の要件・手数料・添付書類については、管轄の窓口(都道府県庁または地方整備局)にご確認ください。

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