
同性カップルが賃貸を借りられないことがあるのは、「二人入居可」と書かれた物件でも、大家が夫婦や親子での入居を想定しており、同性の二人を友人どうしのルームシェアと同じに扱うことがあるためです。「二人入居可」は部屋の広さと人数についての条件であり、どのような関係の二人を受け入れるかは、別に大家の判断を確認する必要があります。入居審査で見られる項目、友人として申し込む場合とパートナーとして申し込む場合の違い、契約の形、公営住宅やURといった選択肢を順に取り上げます。
※2026年10月現在の情報です。入居の条件や審査の基準は物件や管理会社ごとに異なるため、個別の物件については不動産会社にご確認ください。
「二人入居可」と「同性可」は別の条件

物件情報にある「二人入居可」は、その部屋に二人で住むことを認めるという意味で、主に部屋の広さや設備を前提にした条件です。一方で、大家が想定している二人は夫婦、親子、婚約者などであることが多く、友人どうしやルームシェアでの入居は「ルームシェア可」「シェア相談可」として別に表示されるのが一般的です。
| 表示 | 主に意味すること | 同性カップルの場合 |
|---|---|---|
| 二人入居可 | 二人で住める広さ・設備があり、二人での入居を認める | 関係によっては、大家の確認が別に必要になる |
| ルームシェア可 | 親族でない二人以上での入居を認める | 申込みは通りやすいが、友人どうしとして扱われる |
| 同性カップル可・LGBTフレンドリー | 同性カップルの入居を明示的に受け入れる | パートナーとして申し込める |
大家がルームシェアに慎重になる理由は、一方が退去したときに家賃の支払いが滞る、入居者が入れ替わって又貸しのようになる、生活時間の違いからトラブルが起きるといった心配があるためです。同性カップルの申込みがこうした心配と同じ枠で見られてしまうと、関係が安定していても審査で不利になることがあります。
そのため、物件を探す段階で不動産会社に二人の関係を伝え、同性カップルの入居を受け入れる大家かどうかを確認してもらうのが近道です。「二人入居可」の表示だけで申し込み、審査の途中で関係を説明する流れになると、断られたときの理由も分かりにくくなります。
入居審査で見られること
入居審査では、主に次の項目が見られます。同性カップルだから特別な審査があるわけではなく、確認される項目は異性のカップルや夫婦と変わりません。
- 契約者の収入と勤務先:家賃を払い続けられるか。年収に対する家賃の割合を目安にする会社が多い
- 同居人の情報:氏名、続柄、勤務先、収入。契約者と合わせた世帯としての支払い能力が見られる
- 家賃債務保証会社の審査:保証人の代わりに保証会社の利用が条件になっている場合、その会社の審査に通るか
- 緊急連絡先:契約者と連絡がつかないときの連絡先。親族を求められることがある
同性カップルの場合に特に問題になりやすいのが、同居人の続柄と緊急連絡先です。続柄の欄に何と書くか、親族と疎遠で緊急連絡先を頼めないときにどうするかを、申し込む前に二人で決めておくと、審査がスムーズに進みます。保証人や緊急連絡先を親族に頼めないときの選択肢は、保証人なしで賃貸は借りられる|2026年の選択肢で取り上げています。
友人として申し込むか、パートナーとして申し込むか
同性カップルが部屋を借りるとき、関係を伝えずに友人どうしとして申し込むか、パートナーとして申し込むかで迷うことがあります。どちらにも利点と注意点があるため、物件の条件と二人の考え方に合わせて選んでください。
| 申し込み方 | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|
| 友人として申し込む | 関係を説明する必要がない。ルームシェア可の物件であれば申し込める | ルームシェア不可の物件には申し込めない。契約上は友人どうしの扱いになる |
| パートナーとして申し込む | 二人の関係が契約に残る。同性カップルを受け入れる物件では、二人入居として扱われる | 受け入れる大家を探す必要がある。差別的な対応を受けるおそれもある |
パートナーとして申し込む利点は、二人の関係が契約の記録に残ることです。一方が亡くなったり入院したりしたときに、もう一人が同居するパートナーであったことを示す資料になり、住み続けられるかどうかを考えるうえでも意味を持ちます。この点は同性パートナーが死亡したら家に住み続けられる?|借家権と遺言で詳しく取り上げています。
注意したいのは、ルームシェア不可の物件に、実際の関係と違う申告で入居することです。たとえば、同居人を親族と偽って申し込むと、後で事実と違うことが分かった場合に、契約違反として問題になるおそれがあります。関係をどう伝えるかは自由ですが、続柄の欄には「パートナー」「同居人」など、事実に沿った言葉を書いてください。
契約の形は3つから選ぶ

二人で暮らす部屋の契約には、主に3つの形があります。どの形を選ぶかで、一方が退去したり亡くなったりしたときの扱いが変わるため、家賃の負担の仕方とあわせて決めておくことが大切です。
| 契約の形 | 内容 | 考えておきたいこと |
|---|---|---|
| 一人が契約者、もう一人が同居人 | 収入の多い方などが契約者になり、もう一人は同居人として届け出る | 契約者が亡くなったり退去したりすると、同居人の住む権利が不安定になる |
| 二人の連名で契約する | 二人とも契約者(賃借人)になり、家賃について連帯して責任を負う | 受け付けない管理会社もある。一方が亡くなっても、もう一人は契約者として残る |
| それぞれが別々に契約する | URのハウスシェアリング制度のように、同居する全員がそれぞれ契約者になる | 利用できる物件が限られる。一方が退去しても、残る人は住み続けられる |
最も一般的なのは一人が契約者になる形ですが、長く一緒に暮らすつもりであれば、二人の連名での契約を不動産会社に相談する価値があります。契約者が一人だけだと、その人が亡くなったときに賃借権が契約者の相続人に引き継がれ、同居していたパートナーの立場が弱くなるためです。
公営住宅とURという選択肢
民間の賃貸で受け入れ先が見つかりにくい場合は、公営住宅やUR賃貸住宅も選択肢になります。公営住宅は原則として親族での入居を前提としていますが、パートナーシップ制度の利用者を親族と同様に扱う自治体が増えています。
たとえば名古屋市の市営住宅は、原則として夫婦または親子の世帯であることを申込資格としつつ、名古屋市または愛知県のファミリーシップ制度の宣誓をした人も申し込めるとしています。その場合は、ファミリーシップ宣誓書記載内容等証明書の提出が必要です。
扱いは自治体ごとに異なるため、住みたい地域の公営住宅の募集案内で、パートナーシップ制度の利用者が申し込めるかを確認してください。市営住宅の申込みで使う受領証の取得方法は、名古屋市ファミリーシップ制度の申請手順と必要書類で取り上げています。
UR賃貸住宅には、友人など家族以外の単身者どうしが一緒に住めるハウスシェアリング制度があります。同居する全員がそれぞれ個別に契約するため、各自が申込資格を満たす必要がありますが、礼金や仲介手数料がかからず、保証人も不要です。ハウスシェアリング制度を利用できる物件は限られているため、物件情報の表示で確認してください。
根拠:UR賃貸住宅「ルームシェアとは?メリット・デメリットと失敗を防ぐコツ」、UR賃貸住宅「URのメリット」
断られたときの対処と相談先
審査で断られた場合、大家が理由を説明する義務はないため、同性カップルであることが理由なのか、収入や保証会社の審査が理由なのかが分からないことがあります。まずは不動産会社に、どの段階で断られたのかを確認してください。保証会社の審査で落ちた場合は、別の保証会社を使える物件を探すことで解決できることがあります。
同性カップルであることを理由に断られたと考えられる場合は、その大家にこだわらず、同性カップルの入居実績がある不動産会社や、LGBTフレンドリーを掲げる会社に相談する方が早く住まいが見つかります。差別的な言動を受けたと感じたときは、法務局の人権相談窓口に相談することもできます。
入居した後に整えておきたいこと
無事に入居できた後も、二人の暮らしを守るための備えを整えておくと安心です。特に一人が契約者になっている場合は、契約者が亡くなったときや入院したときに、もう一人が住み続けられるかどうかが問題になります。
- 住民票を同じ世帯にする:同居していることを公的に示せる。自治体によっては続柄の記載の扱いが異なる
- パートナーシップ宣誓をする:公営住宅の申込みや行政サービスで、関係を示す資料になる
- 遺言書を作る:持ち家や家財、預金をパートナーに遺せる
- 任意後見契約を結ぶ:判断能力が低下したときに、家賃の支払いや契約の手続きを任せられる
二人の関係を法的に守る書面の全体像は、同性カップルが今できること|効力を持つ5つの書面で確認できます。
よくある質問
不動産会社に、最初から同性カップルだと伝えたほうがよいですか。
伝えるかどうかは自由ですが、パートナーとして入居したい場合は、物件を探す最初の段階で伝えるのが効率的です。不動産会社が大家に事前に確認できるため、審査の途中で断られることが減ります。伝えたくない場合は、ルームシェア可の物件に絞って探す方法があります。
パートナーシップ宣誓の受領証は、民間の賃貸の審査で役に立ちますか。
受領証に法的な効力はなく、民間の大家が受領証をどう扱うかは自由です。ただし、継続的な関係があることを示す資料になるため、二人の関係を説明するときの裏づけとして使えます。公営住宅では、受領証などの提出が申込みの条件になっていることがあります。
続柄の欄には何と書けばよいですか。
「パートナー」「同居人」など、事実に沿った言葉を書きます。法律上の関係がないのに「妻」「夫」「親族」と書くと、事実と違う申告になり、後で問題になるおそれがあります。管理会社によっては、続柄の選択肢に「その他」しかないこともあるため、その場合は備考欄に関係を書き添えてください。
二人の収入を合算して審査してもらえますか。
合算を認めるかどうかは管理会社や保証会社によって異なります。連名での契約にする場合や、同居人の収入を世帯収入として見てもらえる場合は、合算で審査されることがあります。申し込む前に不動産会社に確認してください。
まとめ

同性カップルが賃貸を借りられないことがあるのは、「二人入居可」の物件でも、大家が夫婦や親子を想定し、同性の二人をルームシェアと同じに扱うことがあるためです。物件を探す段階で不動産会社に関係を伝え、同性カップルの入居を受け入れる大家かどうかを確認してもらうのが近道になります。
申込みでは続柄に事実に沿った言葉を書き、契約の形は一人が契約者になる形だけでなく、二人の連名やURのハウスシェアリング制度も検討してください。名古屋市のように公営住宅でパートナーシップ制度の利用者を受け入れる自治体もあるため、民間と公的な住宅の両方を視野に入れ、入居後は遺言書や任意後見契約で二人の暮らしを守る備えを整えておきましょう。

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