
連帯保証人を頼める人がいなくても、賃貸住宅を借りる方法はいくつも用意されています。民間の賃貸物件では、保証人の代わりに家賃債務保証会社を利用する形がすでに主流になっており、保証人がいないこと自体は珍しい条件ではありません。
加えて、保証人を必要としないUR賃貸住宅や、2025年10月に始まった新しい制度に基づく住宅という選択肢もあります。実際につまずきやすいのは保証人よりも緊急連絡先のほうで、ここも親族以外で対応できる仕組みが整いつつあります。
※2026年9月現在の情報です。審査基準や費用は物件・保証会社によって異なるため、契約前に書面でご確認ください。
保証人を立てずに契約する4つのルート

保証人なしで借りる方法は、大きく4つに分かれます。どれを選ぶかは、収入の状況、年齢、見守りが必要かどうかによって変わります。
| ルート | 保証人 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 家賃債務保証会社 | 不要(審査あり) | 民間物件で最も一般的な方法 | 安定した収入がある人 |
| UR賃貸住宅 | 不要 | 礼金・仲介手数料・更新料もかからない | 収入基準か貯蓄基準を満たせる人 |
| 居住サポート住宅 | 不要(認定保証業者が原則引受け) | 安否確認や見守りが付帯する | 単身高齢者、見守りがほしい人 |
| 公営住宅 | 自治体により異なる | 家賃が収入に応じて決まる | 収入が一定以下の人 |
このうち民間物件で中心になるのは家賃債務保証会社です。保証会社を使う場合、保証人を立てるかどうかではなく、保証会社の審査に通るかどうかが入口になります。
家賃債務保証会社には、国の登録制度がある
家賃債務保証会社は、入居者が家賃を滞納したときに立て替えて大家に支払い、後から入居者に請求する仕組みの会社です。国土交通省は2017年に家賃債務保証業者の登録制度を設け、一定の要件を満たす業者を登録して一覧を公表しています。
登録の要件には、安定した業務を行うための純資産額が1,000万円以上あること、法令を遵守するための研修などの制度があること、暴力団員の関与がないこと、立て替えた家賃の請求方法が適切であることなどが含まれます。
根拠:国土交通省「家賃債務保証業者登録制度」(告示公布 平成29年10月2日、告示施行 平成29年10月25日)
登録は任意であるため、未登録の業者も営業しています。登録業者の一覧は国土交通省のサイトで公開されているので、契約前に確認しておくと、取立ての方法などで不安の残る業者を避けやすくなります。
保証料は物件や保証会社によって設定が異なり、契約時に支払う初回保証料と、1年ごとなどに支払う更新保証料の組み合わせで決まるのが一般的です。金額そのものは物件ごとに違うため、申込みの前に総額を確認してください。
本当の壁は緊急連絡先のほうにある
保証会社を使う場合でも、申込書には緊急連絡先の記入欄があり、親族の氏名と連絡先を求められる例が多くあります。保証人は保証会社で代替できても、この欄で行き詰まるという流れです。
2025年10月に施行された改正住宅セーフティネット法では、この点に対応した仕組みが設けられました。国土交通大臣が認定する認定家賃債務保証業者の認定基準に、居住サポート住宅に入居する住宅確保要配慮者の家賃債務保証を原則引き受けること、緊急連絡先を親族などの個人に限定しないことが含まれています。
緊急連絡先を求められたときは、居住支援法人や見守り契約の受任者、担当のケアマネジャーを記入できないか相談してみてください。親族でなければならないという法律上の決まりはなく、連絡が取れる先であるかどうかが実質的な条件になります。
UR賃貸住宅は、保証人も礼金も仲介手数料もいらない
UR賃貸住宅は、契約時の保証人が不要な公的賃貸住宅です。礼金と仲介手数料がかからず、契約が1年ごとに自動更新されるため更新料も発生しません。入居時に必要な費用は、敷金2か月分と日割りの家賃・共益費だけになります。
申込みには収入の基準があり、単身者の場合は次のように定められています。基準を満たせない場合でも、貯蓄や一時払いによって申し込める仕組みが用意されています。
| 満たし方 | 単身者の基準 |
|---|---|
| 収入で満たす | 家賃が62,500円未満なら家賃額の4倍、62,500円以上20万円未満なら25万円、20万円以上なら40万円の平均月収額 |
| 貯蓄で満たす | 家賃額の100倍以上の預貯金があれば収入基準は不要 |
| 一時払いで満たす | 1年から10年分の家賃・共益費を前払いすれば収入基準は不要 |

満60歳以上の場合は、収入が基準月収額の2分の1に満たなくても申し込める特例があります。年金生活で収入基準に届かない場合でも、貯蓄基準や高齢者向けの特例で申し込める余地があるので、収入額だけで諦める必要はありません。
平均月収額は、過去1年間の合計額を12で割った額で判断されます。転職直後などで月収が安定していない場合は、貯蓄基準のほうが通りやすいこともあります。
居住サポート住宅とセーフティネット住宅という選択肢
2025年10月から、居住支援法人等が大家と連携し、日常の安否確認・見守りと、生活や心身の状況が不安定になったときの福祉サービスへのつなぎを行う住宅として、居住サポート住宅の制度が始まりました。市区町村長等が国土交通省・厚生労働省の共同省令に基づいて認定する住宅です。
入居する住宅確保要配慮者については、認定家賃債務保証業者が家賃債務保証を原則引き受けることになっており、保証と見守りをセットで確保できる点が特徴になります。物件は国土交通省の情報提供システムで検索できます。
2017年に始まったセーフティネット登録住宅も引き続き利用できます。こちらは高齢者や低額所得者などの入居を拒まない賃貸住宅として登録された物件で、専用の情報提供システムから探せます。
制度の全体像と2025年10月の改正点については、改正住宅セーフティネット法|2025年10月の変更点でまとめています。
大家が心配していることを知っておくと、話が通りやすい
入居を断られる背景には、大家側の具体的な不安があります。国土交通省の資料では、住宅確保要配慮者に対する大家の入居拒否感は高齢者で約7割、障害者で約7割、低額所得者で約5割とされ、高齢者の入居拒否の理由は居室内での死亡事故等への不安が約9割を占めています。
根拠:国土交通省「住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律 概要」(PDF)
心配されているのは、家賃の滞納そのものよりも、亡くなった後に借家権が残ることと、部屋に残された家財を処分できないことです。この不安に対しては、国土交通省と法務省が残置物の処理等に関するモデル契約条項を策定しており、賃貸借契約の解除に関する委任契約と、残置物処理に関する委任契約を結んでおく形が示されています。
申込みの段階で、死後事務委任契約を結んでいることや、モデル契約条項に基づく委任契約を結ぶ用意があることを伝えられると、大家側の不安は具体的に解消されます。保証人がいないという事実よりも、心配ごとへの手当てが示されているかどうかが判断を左右します。
探すときの進め方
保証人を立てられないことがわかっている場合は、次の順に進めると無駄が少なくなります。
- UR賃貸住宅を先に確認する:保証人も緊急連絡先の親族要件もないため、条件が合えばいちばん確実です。
- 居住サポート住宅とセーフティネット住宅を検索する:情報提供システムで地域の物件を探します。
- 民間物件は保証会社利用可の条件で探す:内見の前に、緊急連絡先を親族以外で登録できるかを不動産会社に確認します。
- 居住支援法人に相談する:物件探しから入居後の見守りまで支援を受けられます。都道府県が指定した法人の一覧が公表されています。
入院や施設入所など、賃貸以外の場面でも同じように保証人を求められます。場面ごとの対処をまとめた身元保証人がいない人の総合ガイド|4つの場面と備えもあわせてご覧ください。
よくある質問
保証会社の審査に落ちたら、もう借りられませんか。
保証会社によって審査の基準は異なるため、別の保証会社を利用できる物件であれば結果が変わることがあります。保証会社を必要としないUR賃貸住宅や、居住支援法人が関わる物件も選択肢になります。不動産会社に、別系統の保証会社を扱う物件がないか尋ねてみてください。
緊急連絡先に書ける人が本当にいません。
親族に限る決まりは法律上ありません。居住支援法人、見守り契約の受任者、担当ケアマネジャー、任意後見の受任者などを記入できないか相談してください。認定家賃債務保証業者は、緊急連絡先を親族などの個人に限定しないことが認定基準に含まれています。
年金収入だけでも借りられますか。
UR賃貸住宅では、満60歳以上の場合に収入が基準月収額の2分の1に満たなくても申し込める特例があり、家賃額の100倍以上の貯蓄があれば収入基準そのものが不要になります。民間物件でも、保証会社が年金収入を収入として扱う例はあるため、物件ごとに確認してください。
高齢を理由に断られた場合、どこに相談すればよいですか。
市区町村や都道府県の居住支援協議会、都道府県が指定する居住支援法人が相談先になります。改正住宅セーフティネット法では、市区町村による居住支援協議会の設置が努力義務とされ、住まいの相談窓口の整備が進められています。
まとめ

民間の賃貸物件では家賃債務保証会社の利用が主流になっており、連帯保証人を立てられないこと自体は契約の妨げになりません。UR賃貸住宅なら保証人が不要で、収入基準を満たせない場合も家賃額の100倍の貯蓄や一時払い、60歳以上の特例で申し込めます。
実際につまずきやすいのは緊急連絡先ですが、2025年10月に始まった認定家賃債務保証業者の制度では、緊急連絡先を親族などの個人に限定しないことが認定基準に含まれました。居住サポート住宅や居住支援法人も加えれば、頼れる家族がいない状態でも住まいの選択肢は着実に広がっています。

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