東京都の建設業許可新規申請に必要な書類一覧

東京都で建設業許可の新規申請を検討されている方にとって、最初の壁となるのが膨大な提出書類の準備です。書類の種類が多いうえ、発行期限や取得先がそれぞれ異なるため、一つでも不備があると申請が受理されません。

この記事では、行政書士の視点から東京都の建設業許可(新規申請)に必要な書類を、「本冊」「別とじ」「確認資料・添付資料」の3区分に整理して解説します。

目次

建設業許可とは?新規申請が必要なケースを確認しよう

建設業許可とは、建設業法(昭和24年法律第100号)第3条に基づき、建設工事を請け負う事業者に対して国土交通大臣または都道府県知事が付与する許可です。すべての建設工事に許可が必要なわけではなく、以下のいずれかに該当する場合に取得が義務付けられています。

  • 1件の工事請負金額が500万円以上となる工事を請け負う場合(建築一式工事の場合は1,500万円以上、または木造住宅で延べ面積150㎡以上)
  • 元請として下請に4,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)を発注する場合(特定建設業許可が必要)

これは、一定規模以上の工事では施工品質・安全管理・資金力の担保が特に重要となるためです。許可を受けずに上記の工事を請け負った場合、建設業法違反として3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。

なお、東京都内のみで営業する場合は東京都知事許可、2つ以上の都道府県に営業所を設置する場合は国土交通大臣許可が必要です。本記事では東京都知事許可(新規申請)の書類について解説します。

申請書類の全体像 ― 3つのカテゴリを把握しよう

東京都への建設業許可申請書類は、大きく以下の3つに分類されます。全体像を把握してから書類収集を進めると、抜け漏れを防ぐことができます。

カテゴリ主な内容特徴
本冊申請書、役員一覧、営業所一覧、財務諸表など許可申請の基本情報を記載する書類群。東京都所定の様式を使用
別とじ経管・専技の証明書、調書、登記事項証明書など許可要件(経営業務管理責任者・専任技術者など)を証明する書類群
確認資料・添付資料預金残高証明書、身分証明書、営業所写真など要件を実態として確認するための補完書類群

建設業許可の申請窓口は東京都庁の建設業課(第一本庁舎)ですが、事前相談を経てから本申請に臨むのが一般的です。申請件数が多い年度末・年度初めの時期は窓口が混み合うため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。

【本冊】申請書類の基本セットと記載のポイント

本冊は、許可申請に関する基本情報をまとめた書類セットです。東京都が定める所定様式を使用し、書き損じや記入漏れがないよう丁寧に作成しましょう。

建設業許可申請書(様式第一号)

許可申請にかかる申請者の基本情報・申請する許可の種別・業種を記入する書類です。一般建設業か特定建設業か、申請する29業種のうちどれを申請するかを正確に記載します。記入誤りが多い書類の一つのため、東京都が公開するチェックリストと照合しながら作成することをお勧めします。

役員等の一覧表(様式第一号別紙一)

法人の場合、氏名・役職名・常勤または非常勤の別を全役員について記入します。登記事項証明書の記載内容と一致している必要があります。監査役・非常勤取締役についても漏れなく記載してください。

営業所一覧表(新規許可等)(様式第一号別紙二(一))

主たる営業所(本店)および従たる営業所(支店・営業所)の所在地・電話番号・申請する業種を記入します。従たる営業所がある場合は、その営業所に専任技術者が配置されているかどうかの確認も必要です。

専任技術者一覧表(様式第一号別紙四)

各営業所に配置する専任技術者(専技)の氏名・担当業種・有資格区分を記入します。専任技術者は、許可を受けようとする工事業種ごとに一定の国家資格または実務経験を有する者でなければなりません。一人の技術者が複数業種の専任技術者を兼任することは可能ですが、複数の営業所の専任技術者を兼任することは原則できません。

工事経歴書(直前1期分)(様式第二号)

直前1事業年度における主な完成工事および施工中の未成工事を記入します。工事名・発注者・請負金額・施工場所などを記載する書類です。完成工事は請負金額の大きいものから順に記入し、全体の7割を超えたところで「その他○件」としてまとめることも可能です。

直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第三号)

直前3事業年度それぞれの建設工事施工金額を業種ごと・元請と下請の別に記入します。財務諸表の数値と整合している必要があります。

使用人数(様式第四号)

役員・事業主を含む全従業員の人数を記入します。健康保険等の加入状況と整合する数値が求められます。

誓約書(様式第六号)

欠格要件(建設業法第8条)に該当しないことを申請者および役員等が誓約する書類です。成年被後見人・被保佐人でないこと、破産者で復権を得ない者でないこと、禁錮以上の刑の執行から5年を経過していることなどが要件となります。

建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表(様式第一号別紙三)

従たる営業所を設置した場合、または個人事業主で支配人を登記した場合のみ作成が必要です。支配人や支店・営業所の代表者(令3条の使用人)の氏名・役職・常勤または非常勤の別を記入します。

定款(法人のみ)

会社設立時に作成した定款です。最新の変更内容が反映されたものを用意します。公証人認証済みの原始定款、またはその後の変更を反映した現行定款を提出します。

財務諸表(法人用・直前1期分)(様式第十五号〜第十九号)

法人の場合は貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書・株主資本等変動計算書・注記表の5点が必要です。

注意が必要なのは、税務申告時に提出する決算報告書ではなく、建設業法で定める様式(東京都所定の書式)で作成し直す必要があることです。勘定科目の分類や表示方法が一般の決算書と異なる場合があります。新規設立で決算期が未到来の場合は「開始貸借対照表」の提出となります。

財務諸表(個人用・直前1期分)(様式第二十号・第二十一号)

個人事業主の場合は貸借対照表・損益計算書の2点を建設業法の様式で作成します。新規開業(決算期未到来)の場合は、財産的基礎の証明として残高証明書を代わりに提出します。

その他の本冊書類

上記のほか、以下の書類も本冊に含まれます。

  • 営業の沿革(様式第二十号の三):創業・設立以降の主な事業展開の経緯を記入
  • 所属建設業者団体(様式第二十号の四):加入している建設業者団体を記入(該当なしの場合も作成が必要)
  • 主要取引金融機関名(様式第二十号の五):主に取引している金融機関名を記入
  • 健康保険等の加入状況(様式第七号の三):健康保険・厚生年金・雇用保険の加入状況、加入人数・事業所番号等を記入

【別とじ】許可要件を証明する書類と取得のポイント

別とじは、建設業許可の要件である「経営業務の管理責任者(経管)」と「専任技術者(専技)」の要件を証明する書類群です。審査の核心となる部分であり、書類の不備が申請不受理の主な原因となります。要件の確認を先に行い、どの書式を使用するかを確定してから書類収集を進めることが重要です。

別とじ表紙

申請区分(新規・業種追加・更新など)や申請者情報など基本的な事項を記入する表紙です。

常勤役員等(経営業務の管理責任者等)に関する書類

建設業法第7条第1号では、建設業許可の要件として「経営業務の管理責任者(経管)」の配置が定められています。2020年の建設業法改正により要件が多様化され、以下の3種類の書類が必要です。

  1. 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書:経管の基本事項と要件該当事由を記入(事由によって使用する書式が異なります)
  2. 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書:直接補佐者を置く場合に必要な証明書
  3. 常勤役員等の略歴書・直接補佐者の略歴書:経歴・在籍期間などを記載する略歴書

どの証明書を使用するかは「どの要件事由で経管の要件を満たすか」によって異なります。※最新の要件は管轄の窓口にご確認ください。

専任技術者証明書(新規・変更)(様式第八号)

各営業所に置く専任技術者の担当工事業種・有資格区分を記入します。専任技術者の要件は建設業法第7条第2号(一般建設業)・第15条第2号(特定建設業)に定められています。

技術者要件を証明する書類

要件の満たし方によって必要な書類が変わります。

  • 国家資格による場合:合格証明書・免許証・認定書の写し
  • 監理技術者資格者証による場合:監理技術者資格者証の写し
  • 大臣認定による場合:認定書の写しおよび監理技術者講習修了履歴の写し
  • 実務経験による場合:実務経験証明書(様式第九号)+実務経験・常勤を証明する確認書類
  • 指導監督的実務経験による場合:指導監督的実務経験証明書(様式第十号)+関連証明書類(監理技術者資格者証で代用も可)

許可申請者の住所・生年月日等に関する調書(様式第十二号)

申請者(法人の場合は役員全員・個人の場合は事業主)の住所・生年月日・略歴を記入します。欠格要件の確認にも使用される重要な書類です。

建設業法施行令第3条に規定する使用人の住所・生年月日等に関する調書(様式第十三号)

従たる営業所の令3条の使用人(支配人・支店代表者等)について作成が必要な調書です。従たる営業所を設置した場合、または個人事業主で支配人を登記した場合にのみ必要です。

株主(出資者)調書(様式第十四号)(法人のみ)

法人の場合、株主(出資者)の氏名・持株数・持株割合を記入します。該当者がいない場合でも作成が必要です。

登記事項証明書(履歴事項全部証明書)

法務局で取得する発行後3か月以内のものが必要です。法人の場合は会社の登記事項証明書を提出します。個人の場合は支配人を登記している場合のみ必要です。

事業税の納税証明書

都税事務所で取得できる証明書です。直前事業年度分が必要となります。新規設立の場合は、設立事業年度の取り扱いについて窓口に確認が必要です。

役員等氏名一覧表(法人番号を証明する資料)

法人番号を証明するために提出する書類です。国税庁の法人番号公表サイトで確認できる法人番号情報(検索結果の印刷等)を活用します。

【確認資料・添付資料】要件の実態を証明する書類

確認資料・添付資料は、申請書の記載内容が実態と合致していることを確認するための補完書類です。窓口審査の際に審査官がこれらの資料を確認しながら要件充足を判断します。書類ごとに発行期限や取得先が異なるため、計画的に準備を進めることが求められます。

預金残高証明書または融資証明書

直前決算で純資産合計が500万円未満の場合に必要となる書類です。建設業法第7条第4号(財産的基礎)の要件を預金残高で証明するためのものです。残高は申請時点で500万円以上あることが必要です。なお、純資産が500万円以上あれば残高証明書は不要です。

登記されていないことの証明書・医師の診断書

発行後3か月以内の「登記されていないことの証明書」(成年被後見人・被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書)が必要です。法務局(本局または支局)で取得できます。申請者(法人の場合は役員全員)・令3条の使用人について取得が必要です。本人申請の場合は医師の診断書で代替することも可能です。

身分証明書(破産者でないことの証明)

発行後3か月以内の身分証明書(本籍地の区市町村長が発行するもの)が必要です。運転免許証やパスポートとは全く異なる書類であることに注意が必要です。

この証明書は、破産者で復権を得ない者に該当しないこと、成年被後見人・被保佐人とみなされる者に該当しないことを証明するものです。本籍地が東京都外の場合は他の都道府県・市区町村に郵便請求する必要があり、取得に1〜2週間かかることがあります。早めの手配が重要です。

常勤役員等(経管)及び直接補佐者の確認資料

経管(経営業務の管理責任者)が申請上の要件を満たしていることを確認するための実態証明書類です。以下の3種類が必要です。

  1. 常勤性を確認できる書類:健康保険証の写し(事業所名が記載されているもの)が代表的です。常勤とは、原則として事業所に週5日程度勤務していることを意味します。
  2. 地位を確認できる書類:役員・事業主の場合は登記事項証明書や個人事業主の確定申告書の写しなど。直接補佐者の場合は組織図・業務分担表など。
  3. 経営等の経験を確認できる書類:在籍期間中の登記事項証明書・確定申告書・組織図などで、申請要件に見合う経営経験年数を証明します。

専任技術者の確認資料

専任技術者の要件充足を確認するための資料です。

  1. 常勤性を確認できる書類:健康保険証の写しなど
  2. 技術者要件を証明する書類
    • 国家資格者等の場合:合格証明書・免許証等の写し
    • 監理技術者の場合:監理技術者資格者証の写し
    • 大臣認定の場合:認定書の写しおよび監理技術者講習修了履歴が確認できるもの
    • 実務経験の場合:実務経験を積んだことと常勤していたことを証明する書類(工事請負契約書・注文書・注文請書など)
    • 指導監督的実務経験の場合:実務経験証明に加え、指導監督的地位にあったことを証明する書類

営業所の確認資料

申請した営業所が建設業の営業実態を有することを確認するための書類です。

  • (法人)登記事項証明書
  • (個人)商号を登記している場合は登記事項証明書、していない場合は住民票
  • 営業所の写真(外観・内観・看板・電話・事務機器等)
  • 名刺・封筒・パンフレット等の写し(営業所名・所在地が確認できるもの)
  • (自社所有の場合)登記事項証明書または固定資産物件証明書・固定資産評価証明書
  • (賃貸借の場合)賃貸借契約書の写し(使用目的が事務所であることの記載が必要)

営業所の要件として、独立した事務スペース・固定電話・事務スタッフの常駐などが求められます。自宅の一室を営業所とする場合は、生活スペースと区分されていることが確認できる写真の準備が必要です。

健康保険・厚生年金・雇用保険の加入証明資料

2020年10月以降、社会保険への加入が建設業許可の要件として明確化されています。以下の書類が必要です。

  • 健康保険・厚生年金保険:事業所整理記号・事業所番号が確認できる直近の書類(保険料納入告知額・領収済額通知書など)
  • 雇用保険:雇用保険の労働保険番号(事業所番号とは別)が確認できる直近の書類(労働保険料申告書など)

書類準備でよくあるミスと対策

建設業許可の新規申請では、書類の不備や記入誤りにより申請が受理されないケースが少なくありません。以下は特に注意が必要なポイントです。

発行期限切れに気をつける

発行後3か月以内の期限がある書類が複数あります。登記事項証明書・登記されていないことの証明書・身分証明書はできるだけ同時期に取得しておくと管理しやすくなります。書類収集に時間がかかり、最初に取得した書類の期限が切れてしまうケースが散見されます。

財務諸表は建設業法様式で作成する

法人の場合、税務申告に使用した決算書をそのまま流用することはできません。建設業法所定の様式(東京都が配布する書式)に勘定科目を振り分けて作成し直す必要があります。会計ソフトの出力と様式が合わない場合は専門家への相談をお勧めします。

身分証明書の取得は早めに手配する

身分証明書は本籍地の区市町村で取得します。本籍地が遠方にある場合、郵便請求に1〜2週間かかることがあります。スケジュールに余裕を持って早めに手配しましょう。

経管・専技の要件確認を先に行う

経営業務の管理責任者と専任技術者の証明書は、「どの要件事由で要件を満たすか」を先に確定させてから書類収集を始めることが重要です。要件の確認なしに書類を集め始めると、不要な書類を集めたり、肝心な書類が不足したりするリスクがあります。

賃貸営業所の契約書の記載内容を確認する

営業所が賃貸物件の場合、賃貸借契約書の使用目的が「事務所」となっている必要があります。「住居」や「居住用」と記載されている場合は、契約変更または大家の承諾書が必要となる場合があります。

よくある質問(FAQ)

Q1. 個人事業主が法人化した場合、建設業許可は引き継げますか?

A. 原則として引き継ぐことができません。法人化(法人成り)した場合は、新法人として新規申請が必要です。ただし、個人の許可を維持しながら法人の許可申請を進め、法人の許可取得後に個人の許可を廃業届で終了させる方法が一般的です。無許可期間が生じないようタイミングの管理が重要ですので、専門家への相談をお勧めします。

Q2. 書類はすべて原本が必要ですか?コピーでも大丈夫ですか?

A. 書類によって異なります。登記事項証明書・登記されていないことの証明書・身分証明書・納税証明書・残高証明書などは原本の提出が必要です。一方、合格証明書・免許証・賃貸借契約書・健康保険証などは写し(コピー)で可とされています。東京都の手引きで各書類の提出形式を必ず確認してください。

Q3. 申請から許可取得まで、どのくらいの期間がかかりますか?

A. 東京都知事許可の標準処理期間は申請受付後おおむね30日とされています。ただし、書類に不備がある場合は補正対応が必要となり、審査期間が延びることがあります。書類準備の期間も含めると、許可取得まで2〜3か月程度を見込んでおくのが一般的です。

Q4. 申請手数料はいくらですか?

A. 東京都知事許可(新規)の場合、一般建設業・特定建設業を問わず9万円(収入証紙による納付)です。申請する業種数にかかわらず一律です。

Q5. 専任技術者は社会保険に加入していなければなりませんか?

A. 常勤の専任技術者として認められるためには、原則として会社の健康保険・厚生年金に加入している必要があります。健康保険証に事業所名が記載されていることで常勤性を確認します。国民健康保険・国民年金への加入のみの場合は、常勤性の確認方法について窓口に事前相談が必要です。

まとめ ― 書類準備は計画的に、専門家のサポートも活用を

東京都の建設業許可(新規申請)に必要な書類は、本冊・別とじ・確認資料を合わせると20種類以上にのぼります。それぞれの書類に発行期限・取得先・記載様式の指定があり、一つでも不備があると申請が受理されません。

書類準備を効率よく進めるポイントをまとめると、以下の通りです。

  1. まず経管・専技の要件を確認し、証明できる要件事由を確定させる
  2. 発行期限のある書類(登記事項証明書・身分証明書など)は申請直前にまとめて取得する
  3. 財務諸表は建設業法所定の様式で改めて作成する
  4. 営業所写真・社会保険の加入証明など、実態確認書類の準備を並行して進める
  5. 本籍地が遠方の場合、身分証明書の郵便請求を最優先で手配する

書類の種類が多く、要件の判断にも専門知識が必要な手続きです。書類収集や作成に不安がある場合は、行政書士への相談・依頼も一つの選択肢です。許可取得後も更新(5年ごと)・変更届など継続的な手続きが発生するため、専門家と連携しておくと安心です。

※2026年4月現在の情報に基づいています。法改正や東京都の運用変更により要件・書類が変わる場合がありますので、最新の情報は東京都建設業課または管轄の窓口にご確認ください。

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