建設業許可29業種一覧【業種選びの注意点】

「建設業許可を取りたいけれど、自分の工事はどの業種に該当するのか」「29業種もあって、どれを申請すればいいのかわからない」——そうした疑問をお持ちの方に向けて、本記事では建設業許可の29業種を全てわかりやすく解説します。

建設業法第3条の規定により、建設工事を請け負うには業種ごとに都道府県知事または国土交通大臣の許可を受ける必要があります。2026年4月現在、許可が必要な建設業は29業種に分類されており、申請はこの業種ごとに行わなければなりません。

目次

建設業許可の29業種が必要な理由と基礎知識

建設業許可が必要となる工事の範囲は、建設業法によって明確に定められています。原則として、1件の工事の請負金額が500万円以上(消費税込み)の専門工事を請け負う場合は、該当する業種の建設業許可を取得しなければなりません。

建築一式工事については基準が異なります。請負金額が1,500万円以上、または延べ面積が150平方メートル以上の木造住宅の工事が許可の対象です。この基準に満たない小規模な工事は「軽微な工事」として扱われ、許可なしに請け負うことができます。

許可を取得していない業者が軽微な工事の範囲を超えて工事を請け負うことは建設業法違反となります。行政処分や罰則の対象にもなるため、許可の要否が微妙なケースでは、管轄の都道府県庁や国土交通省の窓口に事前確認することを強くおすすめします。

建設業許可が業種別に分類されているのは、工事の専門性・安全性・施工品質を業種ごとに確保するためです。電気工事と土木工事では求められる専門技術が全く異なるように、それぞれの業種に固有の技術基準と責任があります。複数の業種にわたる工事を行う場合は、それぞれの業種の許可を個別に取得する必要があります。

建設業許可29業種 完全一覧

建設業許可の29業種は、「一式工事」2業種と「専門工事」27業種に大きく分けられます。以下の一覧表で全業種を確認してください。

No.業種名分類代表的な工事の例
1土木一式工事一式工事道路・橋梁・河川・ダムなど土木工作物の総合建設
2建築一式工事一式工事住宅・ビル・マンションなど建築物の新築・大規模改修
3大工工事専門工事木造住宅の建前、木製設備の取り付け
4左官工事専門工事モルタル外壁仕上げ、内壁の塗り壁
5とび・土工・コンクリート工事専門工事足場組立て、杭打ち、土砂掘削、コンクリート築造
6石工事専門工事自然石・コンクリートブロックによる外構・記念碑設置
7屋根工事専門工事瓦・スレート・金属薄板による屋根葺き
8電気工事専門工事発電・変電・送配電設備、構内電気設備の設置
9管工事専門工事空調・給排水・衛生設備、ガス管配管
10タイル・れんが・ブロック工事専門工事外壁タイル張り、コンクリートブロック塀の施工
11鋼構造物工事専門工事橋梁・鉄塔・貯蔵タンクの製作・設置
12鉄筋工事専門工事コンクリート構造物の鉄筋加工・組立て
13舗装工事専門工事道路・駐車場のアスファルト・コンクリート舗装
14しゅんせつ工事専門工事河川・港湾の水底土砂の掘削・除去
15板金工事専門工事屋根板金、雨樋・金属製付属物の取り付け
16ガラス工事専門工事建築物の窓・ショーウィンドウへのガラス設置
17塗装工事専門工事外壁塗装、防錆塗装、吹き付け塗装
18防水工事専門工事屋上防水、地下室防水、シーリング処理
19内装仕上工事専門工事壁紙・カーペット・ビニール床タイルの施工
20機械器具設置工事専門工事プラント設備・エレベーター等の組立て・設置
21熱絶縁工事専門工事配管・冷暖房設備の保温・保冷施工
22電気通信工事専門工事LAN配線、光ファイバー工事、放送機械設備の設置
23造園工事専門工事庭園・公園の築造、屋上緑化、植生復元
24さく井工事専門工事地下水採取を目的とした井戸掘削、揚水設備設置
25建具工事専門工事ドア・サッシ・シャッター・ふすまの取り付け
26水道施設工事専門工事上水道・工業用水道の取水・浄水・配水施設の築造
27消防施設工事専門工事火災警報・消火・避難設備の設置
28清掃施設工事専門工事し尿処理施設・ごみ処理施設の設置
29解体工事専門工事建物・工作物の解体・撤去

※2026年4月現在の情報です。最新の要件は管轄の都道府県庁または国土交通省の窓口にご確認ください。

2つの一式工事の特徴と申請時の注意点

建設業許可の29業種のうち、「土木一式工事」と「建築一式工事」の2業種は一式工事に分類されます。一式工事は専門工事とは性格が大きく異なるため、業種の選択時に誤解が生じやすい分野です。

土木一式工事

土木一式工事とは、元請業者の立場で総合的な企画・指導・調整のもとに土木工作物を建設する工事であり、複数の下請業者によって施工される大規模かつ複雑な工事です。道路・橋梁・河川・ダム工事などが代表的です。

注意が必要なのは、土木一式工事の許可だけでは、とび・土工工事や舗装工事などの専門工事を単独で請け負うことはできない点です。専門工事を単独で施工する場合は、それぞれの業種の許可が別途必要となります。業種の解釈を誤ったまま申請するケースが見られるため、事前の確認を徹底してください。

建築一式工事

建築一式工事とは、元請業者の立場で総合的な企画・指導・調整のもとに建築物を建設する工事であり、複数の下請業者によって施工される大規模かつ複雑な工事です。住宅・ビル・マンションなどの新築工事がこれに該当します。

建築一式工事は「建物全体を元請として請け負う」ための許可です。内装仕上工事や電気工事など特定の専門工事だけを請け負う場合は、建築一式工事ではなく各専門工事の許可が必要となります。この点は初めて許可を申請する方が間違えやすいポイントです。

専門工事27業種の詳細解説

専門工事は27業種あり、それぞれが異なる施工内容を対象としています。工事の性質によって4つのグループに分けて解説します。

躯体・構造系の専門工事

大工工事は、木材の加工または取り付けにより工作物を築造し、または工作物に木製設備を取り付ける工事です。在来工法による木造住宅の建築において中心的な役割を担います。

とび・土工・コンクリート工事は、幅広い工事内容を包括する業種です。以下のような工事が含まれます。

  • 足場の組立て、機械器具・建設資材等の重量物の運搬・配置、鉄骨等の組立て
  • くい打ち、くい抜き、場所打ちぐい工事
  • 土砂等の掘削、盛土、締固め
  • コンクリートにより工作物を築造する工事
  • その他基礎的または準備的工事

幅広い工事内容が含まれる分、他の業種との境界線が問題になりやすい業種でもあります。

石工事は、石材(コンクリートブロック・擬石を含む)の加工または積み方により工作物を築造し、または工作物に石材を取り付ける工事です。自然石を使った外構工事や記念碑の設置などが該当します。

鋼構造物工事は、形鋼・鋼板等の鋼材の加工または組み立てにより工作物を築造する工事です。橋梁・鉄塔・貯蔵用タンクなどの製作・設置が代表的です。

鉄筋工事は、棒鋼等の鋼材を加工・接合・組み立てる工事です。コンクリート構造物の強度を確保するために欠かせない工事であり、建築・土木工事の基盤を支える重要な業種です。

仕上げ・内装系の専門工事

左官工事は、工作物に壁土・モルタル・漆くい・プラスター・繊維等をこて塗り、吹き付け、または貼り付ける工事です。外壁仕上げや内壁の塗り壁など、建物の美観と耐久性を高める役割があります。

屋根工事は、瓦・スレート・金属薄板等により屋根をふく工事です。屋根の防水性と耐久性を確保するための専門工事として、建物の寿命を左右する重要な施工です。

タイル・れんが・ブロック工事は、れんが・コンクリートブロック等により工作物を築造し、または工作物にれんが・コンクリートブロック・タイル等を取り付けまたは貼り付ける工事です。外壁タイル張りや塀・擁壁の施工などが該当します。

板金工事は、金属薄板等を加工して工作物に取り付け、または工作物に金属製等の付属物を取り付ける工事です。屋根の板金加工や雨樋の取り付けなどが含まれます。

ガラス工事は、工作物にガラスを加工して取り付ける工事です。建築物の窓やショーウィンドウへのガラス設置が代表的です。

塗装工事は、塗料・塗材等を工作物に吹き付け、塗り付け、または貼り付ける工事です。外壁塗装や防錆塗装など、美観の向上と素材の保護を目的とした施工が対象です。

防水工事は、アスファルト・モルタル・シーリング材等によって防水を行う工事です。屋上防水や地下室の防水処理など、建物を雨水・地下水から守るために不可欠な施工です。

内装仕上工事は、木材・石膏ボード・吸音板・壁紙・たたみ・ビニール床タイル・カーペット・ふすま等を用いて建築物の内装仕上げを行う工事です。住宅リフォームから商業施設の内装まで、幅広い工事が含まれます。

建具工事は、工作物に木製または金属製の建具等を取り付ける工事です。ドア・サッシ・シャッター・ふすまなどの設置工事が代表的です。

設備系の専門工事

電気工事は、発電設備・変電設備・送配電設備・構内電気設備等を設置する工事です。住宅や事業所の電気配線から工場の受変電設備まで、電力供給に関わる工事全般が対象となります。

管工事は、冷暖房・冷凍冷蔵・空気調和・給排水・衛生等のための設備を設置し、または金属製等の管を使用して水・油・ガス・水蒸気等を送配するための設備を設置する工事です。ビルの空調設備や住宅の給排水設備の施工が代表的です。

機械器具設置工事は、機械器具の組み立て等により工作物を建設し、または工作物に機械器具を取り付ける工事です。プラント設備や昇降機(エレベーター)の設置などが該当します。なお、管工事・電気工事との業種区分が論点になるケースがあります。

熱絶縁工事は、工作物または工作物の設備を熱絶縁する工事です。冷暖房設備や配管の保温・保冷施工が代表的な工事内容であり、管工事と隣接する業種です。

電気通信工事は、有線電気通信設備・無線電気通信設備・ネットワーク設備・情報設備・放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事です。LAN配線や光ファイバー工事なども含まれます。

水道施設工事は、上水道・工業用水道等のための取水・浄水・配水等の施設を築造する工事、または公共下水道もしくは流域下水道の処理設備を設置する工事です。

消防施設工事は、火災警報設備・消火設備・避難設備もしくは消火活動に必要な設備を設置し、または工作物に取り付ける工事です。消防法に基づく設備設置義務があるため、ビル・マンション・工場等で申請件数の多い業種のひとつです。

その他の専門工事

舗装工事は、道路等の地盤面をアスファルト・コンクリート・砂・砂利・砕石等により舗装する工事です。道路の新設・補修から駐車場の整備まで、幅広い施工を包括します。

しゅんせつ工事は、河川・港湾等の水底をしゅんせつ(浚渫)する工事です。水底の土砂を掘削・除去して水深を確保する工事であり、特殊な機械・技術が必要とされる専門性の高い業種です。

造園工事は、整地・樹木の植栽・景石の据え付け等により庭園・公園・緑地等の苑地を築造し、道路・建築物の屋上等を緑化し、または植生を復元する工事です。

さく井工事は、さく井機械等を用いてさく孔・さく井を行う工事またはこれらの工事に伴う揚水設備設置等を行う工事です。地下水の採取を目的とした井戸掘削工事が代表的です。

清掃施設工事は、し尿処理施設またはごみ処理施設を設置する工事です。廃棄物処理に関わる社会インフラを支える、公共性の高い業種です。

解体工事は、工作物の解体を行う工事です。2016年の建設業法改正により「とび・土工・コンクリート工事」から独立して新設された業種です。請負金額が500万円以上の解体工事を請け負う場合は、この許可の取得が要件となります。なお、500万円未満の軽微な解体工事のみを行う場合は、建設リサイクル法に基づく「解体工事業者登録」制度の対象となります。

業種選定で注意すべき3つのポイント

1. 自社工事の主体が「元請」か「専門工事のみ」かを確認する

一式工事の許可は、あくまでも元請として複数の専門業者を統括し、工事全体を請け負う場合に必要なものです。専門的な工事を単独で施工する場合は、一式工事ではなく各専門工事の許可が必要です。

たとえば、新築住宅の建設全体を元請として請け負う場合は建築一式工事の許可が必要です。一方、下請として内装仕上げだけを施工する場合は内装仕上工事の許可が必要となります。

2. 複数業種が必要なケースを見落とさない

事業の内容によっては、複数の業種の許可を同時に申請する必要があります。たとえば、給排水設備工事(管工事)と電気設備工事(電気工事)を一括して請け負う事業者は、両方の許可が必要です。

申請の際には、自社が施工する工事内容を改めて整理し、必要な業種を漏れなく申請することが重要です。許可を持たない業種の工事を500万円以上請け負うことは無許可営業にあたるため、厳重な注意が必要です。

3. 附帯工事との区別を正しく理解する

建設業法では、許可を受けた業種に附帯する工事(附帯工事)については、主たる工事と一体的に施工する場合に限り、別途許可なく施工できると定められています。

ただし、附帯工事として認められる範囲には限界があります。主たる工事と比べて附帯工事の規模が大きくなる場合や、独立した専門工事として施工する場合は別途許可が必要です。判断に迷う場合は、管轄窓口や専門家への確認をおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q1. 29業種は全て取得しなければなりませんか?
いいえ、全業種の取得は必要ありません。実際に施工する工事の業種のみ申請が必要です。許可取得後に業種を追加したい場合は、業種追加申請を行うことができます。
Q2. 一式工事の許可があれば専門工事も施工できますか?
原則としてできません。建築一式・土木一式工事の許可は、元請として一式工事を行うための許可です。電気工事や管工事などを単独で施工するには、それぞれ別途の許可が必要です。ただし、主たる工事に附帯する工事として施工する場合は例外が認められることがあります。
Q3. 500万円未満の工事でも許可が必要なケースはありますか?
通常は許可不要ですが、元請が下請に発注する金額の合計が4,500万円以上(建築一式は7,000万円以上)となる場合は特定建設業許可が必要です。また、公共工事の入札参加や、元請から許可の取得を条件とされるケースも実際には多くあります。
Q4. 解体工事業の建設業許可と「解体工事業者登録」は何が違いますか?
請負金額が500万円以上の解体工事には建設業法に基づく「解体工事業の建設業許可」が必要です。500万円未満の解体工事のみを行う場合は、建設リサイクル法に基づく「解体工事業者登録」の対象となります。両者は別制度であるため、混同しないよう注意が必要です。
Q5. 建設業許可の申請から取得まで期間はどのくらいかかりますか?
都道府県知事許可の場合は申請から約30〜60日、国土交通大臣許可の場合は約90〜120日が目安とされています。書類に不備があると審査が長引くため、事前準備が重要です。※最新の審査期間は申請先の窓口にご確認ください。

まとめ

建設業許可の29業種は、「土木一式工事」「建築一式工事」の2つの一式工事と、27の専門工事に分類されています。申請の際は、自社の施工内容を正確に把握した上で、必要な業種を漏れなく選定することが重要です。

  • 請負金額が500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事は、該当業種の許可が必要
  • 一式工事の許可だけでは専門工事を単独で施工することはできない
  • 複数業種にわたる工事を行う場合は、それぞれの業種許可を取得する
  • 附帯工事の範囲を正しく理解し、無許可施工のリスクを避ける
  • 2016年に解体工事業が独立した業種として新設された点にも注意が必要

業種の選定や申請書類の作成は、専門的な知識が求められます。「どの業種を取得すればよいかわからない」「複数業種を同時に申請したい」といった場合は、建設業許可に精通した行政書士にご相談ください。

※本記事の情報は2026年4月現在のものです。法改正や制度変更により内容が変わる場合があります。最新の要件は管轄の都道府県庁または国土交通省の窓口にご確認ください。

目次