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産業廃棄物収集運搬業許可の要件
産業廃棄物収集運搬業許可の取得は、申請すれば誰でも認められるものではありません。施設に係る基準と申請者の能力に係る基準という2つの許可要件を満たす必要があります。特に講習会の受講など、事前準備に時間がかかる項目もあります。
この記事は、廃棄物処理法にもとづく要件を整理して解説するものです。これから許可取得を目指す事業者の方が、申請前に全体像をつかめる内容を目指しました。
結論:産業廃棄物収集運搬業許可の要件は大きく2つ
産業廃棄物収集運搬業許可の要件は、大きく①施設に係る基準と②申請者の能力に係る基準の2つに分けられます。この2つを満たしたうえで、さらに欠格要件に該当しないことが許可の前提となります。
なぜ2つの観点が設けられているのでしょうか。産業廃棄物は、扱い方を誤ると飛散・流出や悪臭によって生活環境を損なうおそれがあります。そのため、運ぶための「モノ(施設)」と、適正に運ぶための「ヒト・体制(能力)」の両面が求められるのです。
まずは全体像を表で確認しましょう。それぞれの詳しい内容は、このあとのセクションで順に解説します。
| 要件の区分 | 主な内容 | 証明に使う主な書類 |
|---|---|---|
| ①施設に係る基準 | 収集運搬に適した車両・容器などの確保 | 車検証、施設使用承諾書 など |
| ②申請者の能力に係る基準 | 講習会の修了、事業計画、経理的基礎 | 講習修了証の写し、事業計画書、決算書 など |
| 欠格要件に非該当 | 破産・刑罰歴・許可取消し歴などがないこと | 誓約書、登記されていないことの証明書 など |
あらかじめ許可基準を把握し、計画的に申請の準備を進めることが重要です。
産業廃棄物収集運搬業許可とは
産業廃棄物収集運搬業許可とは、事業活動で生じた産業廃棄物を、排出事業者に代わって集め、処理施設などへ運搬するために必要な許可です。根拠となるのは廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第14条で、無許可での営業は認められていません。
ここで押さえておきたいのが「産業廃棄物」の意味です。産業廃棄物とは、事業活動にともなって生じた廃棄物のうち、燃え殻や汚泥、廃プラスチック類など法令で定められたものを指します。家庭から出る一般廃棄物とは区別され、扱う許可も別になります。
なお、許可は原則として都道府県または政令市ごとに取得します。廃棄物を積む場所と降ろす場所の両方の自治体で許可が必要になる点は、初めての方が間違えやすいポイントです。複数の地域で事業を行う予定がある場合は、早めに管轄を確認しておきましょう。
産業廃棄物収集運搬業の許可基準
廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則では、その許可基準について以下のように規定しています。
(産業廃棄物収集運搬業の許可の基準)
第十条 法第十四条第五項第一号(法第十四条の二第二項において準用する場合を含む。)の規定による環境省令で定める基準は、次のとおりとする。
一 施設に係る基準
イ 産業廃棄物が飛散し、及び流出し、並びに悪臭が漏れるおそれのない運搬車、運搬船、運搬容器その他の運搬施設を有すること。
ロ 積替施設を有する場合には、産業廃棄物が飛散し、流出し、及び地下に浸透し、並びに悪臭が発散しないように必要な措置を講じた施設であること。
二 申請者の能力に係る基準
イ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に行うに足りる知識及び技能を有すること。
ロ 産業廃棄物の収集又は運搬を的確に、かつ、継続して行うに足りる経理的基礎を有すること。
条文のとおり、許可の基準は主に2つの観点に分けられます。①施設に係る基準と②申請者の能力に係る基準です。それぞれについて、具体的に基準を満たしていることを書類で証明していく流れになります。以下で順番に見ていきましょう。
①施設に係る基準
収集運搬施設(車両・容器等)の確保
産業廃棄物の収集運搬は、飛散・流出および悪臭が発散するおそれのない方法で行う必要があります。これは、運搬の途中で廃棄物が漏れれば、周辺の環境や公衆衛生に直接影響が及ぶおそれがあるためです。
そのため、飛散・流出および悪臭が発散するおそれのある産業廃棄物については、収集運搬に適した容器または車両を使う必要があります。申請時には、これらの車両の検査証(車検証)や施設使用承諾書などを提出して証明します。
必要な性能は、運ぶ品目によって変わります。たとえば粉じんの出やすい廃棄物なら密閉コンテナ車、汚泥ならダンプ車といった具合です。取り扱う品目を先に決め、それに合った車両・容器をそろえることが、施設基準を満たす近道になります。
②申請者の能力に係る基準
講習会の受講と修了証の取得
産業廃棄物の適正な処理に必要な専門知識と技能を身につけるため、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)が実施する「産業廃棄物又は特別管理産業廃棄物処理業の許可申請に関する講習会」を修了していることが必要です。
修了が必要な人は、申請の形態によって異なります。混同しやすい部分なので、下の表で整理しておきましょう。
| 申請の形態 | 講習会の受講対象者 |
|---|---|
| 個人申請 | 申請者本人 |
| 法人申請 | 代表者・役員(監査役および社外取締役を除く)または政令使用人 |
許可申請時には、修了証の写しを添付することが求められます。講習会は日程や会場が限られ、受講までに時間がかかることも少なくありません。申請件数の多い時期は予約が取りにくくなる傾向もあるため、準備の早い段階で受講計画を立てておくと安心です。
適切な事業計画の策定
申請時には、事業の全体計画や取り扱う産業廃棄物、具体的な業務計画などを盛り込んだ事業計画書の添付が必要です。そのため、実際の業務を見据えた事業計画をあらかじめ策定しておく必要があります。
事業計画の策定には2つの意味があります。ひとつは、業務を遂行できる体制が整っていることを行政に示す役割です。もうひとつは、事業者自身が事業の見通しを立てる大切なプロセスになるという点です。
なお、計画を立てる際には、環境保全に対する措置を盛り込むことも重要です。どの品目を、どの排出元から、どこへ運ぶのかを具体的に描くことで、審査もスムーズに進みやすくなります。
経理的基礎の確保
事業を的確に、かつ継続して行うことのできる経理的基礎を有していることも要件です。継続的な事業運営が見込めない状態では、廃棄物の適正処理を安定して担えないと判断されるためです。
求められる基準は自治体によって異なりますが、概ね利益を計上できており、債務超過にないことが必要とされます。証明には、直近3年分の決算書や納税証明書などを提出して財務状況を示します。
財務状況によっては、追加の書類が求められる場合があります。たとえば債務超過がある場合に、中小企業診断士などが作成した改善計画の提出を求められるケースです。数字が基準に届かないときほど、早めに管轄窓口へ確認しておくことをおすすめします。
欠格要件に該当しないこと
許可基準を満たしていても、欠格要件に該当すると許可は受けられません。欠格要件は、廃棄物処理法が定める信頼性の担保のための仕組みで、過去の刑罰歴や許可の取消し歴などが対象になります。産業廃棄物収集運搬業許可における主な欠格要件は以下のとおりです。
・成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
・禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
・廃棄物処理法、浄化槽法その他生活環境の保全を目的とする法令で政令で定めるものに違反し、罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(第31条第7項を除く)及び刑法若しくは暴力行為等処罰ニ関スル法律に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
・一般廃棄物収集運搬・処分業の許可、産業廃棄物収集運搬・処分業の許可(特別管理産業廃棄物収集運搬業・処分業を含む)、浄化槽法による許可の取消しを受けてからから五年を経過しない者
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者
・その業務に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
など
注意したいのは、法人の場合、役員個人が欠格要件に該当すると法人全体が許可を受けられなくなる点です。役員の一人が過去に該当事由を抱えているために、申請を進められなくなるケースもあります。申請前に、役員全員について確認しておくことが大切です。
申請でつまずきやすい注意点
要件を理解していても、実際の準備段階でつまずくことは少なくありません。許可取得後によくある戸惑いも含め、事前に知っておきたい注意点を整理します。
- 講習会の予約は早めに:受講から修了証の交付までに時間がかかり、これが申請全体のボトルネックになりがちです。
- 積む地域・降ろす地域の両方で許可が必要:都道府県・政令市をまたぐ運搬では、複数の許可が必要になる場合があります。
- 取り扱う品目を先に確定する:品目によって必要な車両・容器や事業計画の内容が変わります。
- 更新を忘れない:許可には有効期間(原則5年)があり、期限が切れると営業できなくなります。
これらは、いずれも事前の情報収集で防げるものばかりです。要件の確認と並行して、スケジュール全体を逆算しておくと、申請がスムーズに進みます。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 講習会は誰が受ければよいですか?
個人申請では申請者本人、法人申請では代表者・役員(監査役および社外取締役を除く)または政令使用人が受講します。修了証の写しを申請時に添付します。
Q2. 経理的基礎はどの程度あればよいですか?
明確な金額基準はなく、概ね利益が計上でき、債務超過でないことが目安です。判断基準は自治体で異なるため、直近3年分の決算内容をもとに管轄窓口へ確認するのが確実です。
Q3. 特別な資格がないと許可は取れませんか?
国家資格などは不要です。ただし、JWセンターの講習会を修了していることが要件になります。知識と技能を担保するための位置づけです。
Q4. どのくらいの期間で許可が取れますか?
審査期間は自治体によって異なりますが、書類受理からおおむね1〜2か月が一つの目安です。講習会の受講や書類準備の期間も見込み、余裕をもって進めましょう。
まとめ
産業廃棄物収集運搬業許可の要件は、①施設に係る基準と②申請者の能力に係る基準の2つが柱です。加えて、講習会の修了、事業計画の策定、経理的基礎の確保、そして欠格要件に該当しないことが求められます。
なかでも講習会の受講は、修了証の取得までに時間がかかるため、早めの準備が欠かせません。要件を一つずつ確認し、計画的に書類をそろえることが、スムーズな許可取得への近道です。
※本記事は2026年4月現在の情報にもとづいています。最新の要件や必要書類は自治体によって異なる場合があるため、詳細は管轄の窓口にご確認ください。

