
居住サポート住宅とは、居住支援法人などが大家と連携し、1日1回以上の安否確認、月1回以上の訪問による見守り、必要に応じた福祉サービスへのつなぎを行う賃貸住宅です。改正住宅セーフティネット法にもとづいて2025年10月に認定が始まった新しい制度で、ひとり暮らしの高齢者など、入居後の生活に不安を持たれやすい人が部屋を借りやすくなることを目的としています。サポートの具体的な中身、住宅の基準、費用の考え方、似た住まいとの違い、物件の探し方を順に取り上げます。
※2026年10月現在の情報です。認定基準は自治体が独自に強化・緩和できる部分があるため、個別の物件の条件は認定を行う自治体や物件の窓口にご確認ください。
居住サポート住宅は、見守りが入居の前提になった賃貸住宅
居住サポート住宅は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)の2024年改正で創設されました。大家と居住支援法人などが共同で居住安定援助計画を作成し、福祉事務所を設置している市区町村の長(福祉事務所がない町村では都道府県知事)が、その計画を認定する仕組みです。
根拠:国土交通省・厚生労働省「居住サポート住宅認定制度 認定申請解説書」(PDF)(2025年9月)
高齢者や単身世帯の増加で賃貸住宅への需要が高まる一方、大家のなかには、入居後に体調を崩したり亡くなったりしたときの対応に不安を持つ人がいることが、国の解説書でも制度創設の背景として挙げられています。居住サポート住宅は、入居後の見守りを制度として組み込むことで、大家の不安と入居者の不安を同時に減らそうとする仕組みです。
改正法全体で何が変わったのかは、改正住宅セーフティネット法|2025年10月の変更点で取り上げています。
受けられるサポートは3つ

認定を受けた事業者は、日常生活に援助が必要な入居者に対して、安否確認、見守り、福祉サービスへのつなぎの3つをすべて提供しなければなりません。それぞれの内容は、国の認定申請解説書で具体的に定められています。
安否確認:1日1回以上
安否確認は、常に作動して異常を検知する通信機器の設置か、1日1回以上の訪問・電話などのいずれかで行います。機器の例としては、水道の使用状況やドアの開閉を検知するセンサー、電気の使用量を検知するスマートメーター、使用状況を検知する照明などが挙げられています。
一方で、ペンダント型の緊急通報装置のように、入居者が自分でボタンを押したときにしか反応しない機器は、安否確認の機器に当たりません。意識を失った場合など、本人が発報できない状況を検知できないためです。SNSを使う場合も、入居者と事業者の双方向のやり取りが毎日必要とされています。
見守り:月1回以上の訪問
見守りは、月1回以上の訪問などによって入居者の心身と生活の状況を確認するもので、対面が原則です。部屋の様子や顔色、食事や睡眠の状況といった変化は電話では把握しにくいため、入居者が事業者の事務所に出向く方法も見守りとは認められていません。
福祉サービスへのつなぎ
安否確認や見守りで生活や心身の変化に気づいたときは、利用できる福祉サービスの情報提供や助言を行い、必要に応じて行政機関や介護などの事業者につなぎます。介護サービスそのものを提供するわけではなく、支援が必要になったときの入り口の役割を果たします。
住宅の基準と、入居できる人
居住サポート住宅には、サポートの中身だけでなく、住宅そのものにも基準があります。主な基準は次のとおりです。
| 項目 | 主な基準 |
|---|---|
| 床面積 | 新築は25㎡以上、既存住宅は18㎡以上(共同居住型は別基準) |
| 構造 | 耐震性を有すること(確保する見込みがある場合を含む) |
| 設備 | 台所、便所、浴室などを備えていること |
| 家賃 | 近くの同じような住宅の家賃と比べて均衡を失しないこと |
| サポートの対価 | 内容や頻度に照らして不当に高額でないこと |
居住サポート住宅には、3つのサポートすべてを必要とする人に入居者を限る「専用住宅」と、入居者を限定しない住宅の区分があり、認定を受けるには専用住宅を1戸以上設ける必要があります。3つのサポートを受けるかどうかは、身寄りの有無などの状況をふまえて大家から提案し、入居者との合意で決めるのが基本です。
専用住宅に入居できるのは、日常生活を営むのに援助を必要とする住宅確保要配慮者と、その人と生計を一にする配偶者や親族です。住宅確保要配慮者には高齢者、障害者、低額所得者、子育て世帯などが含まれ、ひとり暮らしの高齢者が典型的な入居者として想定されています。
費用は家賃とサポートの対価の2本立て
入居者が負担するのは、家賃・共益費と、居住サポートの対価(利用料)です。対価は基本的に見守りなどを受ける入居者が負担することが想定されていますが、その一部を事業者が負担することも認められています。
対価の金額は物件ごとに認定時の計画で定められ、幅を持たせた金額で申請することもできます。運用中に計画の上限を超えて値上げするには認定の変更が必要になるため、契約時に示された金額の範囲を確認しておけば、後から大きく上がる心配は小さくなります。介護サービスなどを利用している場合でも、その利用料とは別に居住サポートの対価がかかる点は覚えておいてください。
保証人がいなくても入居しやすい仕組み
居住サポート住宅に入居する要配慮者については、国土交通大臣が認定した認定家賃債務保証業者が、家賃債務保証を原則として引き受けることになっています。認定家賃債務保証業者は、緊急連絡先を親族などの個人に限定しないこと、保証人の設定を条件としないことが認定の基準とされています。
生活保護を受けている人が入居する場合は、住宅扶助費(家賃)を福祉事務所から大家に直接支払う代理納付が法律上の原則になりました。保証人を立てずに部屋を借りる方法全般は、保証人なしで賃貸は借りられる|2026年の選択肢で取り上げています。
セーフティネット住宅・サ高住との違い
見守りや入居のしやすさをうたう住まいには、居住サポート住宅のほかに、セーフティネット住宅とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)があります。名前が似ているため混同されやすいものの、制度の目的と受けられるサポートは異なります。
| 項目 | 居住サポート住宅 | セーフティネット住宅 | サ高住 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 入居中のサポートつきの住宅を増やす | 要配慮者の入居を拒まない住宅を増やす | 高齢者向けの良好な住環境を提供する |
| 対象者 | 援助を必要とする住宅確保要配慮者など | 住宅確保要配慮者など | 60歳以上の人または要支援・要介護認定を受けた人など |
| サポート | 安否確認・見守り・福祉へのつなぎ | 制度上の定めはない | 日中常駐の職員による状況把握と生活相談(原則) |
| バリアフリー | 基準なし | 基準なし | 必要 |
| 認定・登録 | 福祉事務所設置自治体の長が認定 | 都道府県知事等が登録 | 都道府県知事等が登録 |
根拠:国土交通省・厚生労働省「居住サポート住宅認定制度 認定申請解説書」(PDF)資料編「セーフティネット住宅等との違い」
居住サポート住宅は主に既存の一般的な賃貸住宅を活用することを想定しており、サ高住のように職員が常駐するわけではありません。自分で生活できるうちは普通の賃貸住宅に近い感覚で暮らし、見守りだけを加えたいという人に向いた住まいといえます。
物件の探し方と入居までの流れ
居住サポート住宅は、国土交通省と厚生労働省が運営する居住サポート住宅情報提供システムで検索できます。地域によって認定の進み方に差があり、制度開始から間もないこともあって、希望する地域に物件がまだない場合もあります。
根拠:国土交通省・厚生労働省「居住サポート住宅情報提供システム」
- 物件を検索する:情報提供システムで、住みたい地域の物件と家賃、サポートの対価を確認します。
- 問い合わせる:掲載されている窓口に連絡し、空き状況と入居の条件を確認します。
- サポートの内容の説明を受ける:安否確認の方法、見守りの頻度と担当者、対価の金額を聞きます。
- 内覧と審査:部屋を確認し、家賃債務保証の審査を受けます。
- 契約して入居する:賃貸借契約と、居住サポートに関する契約を結びます。

近くに物件が見つからない場合は、地域の居住支援法人に相談すると、セーフティネット住宅や見守りサービスと組み合わせた住まい探しを手伝ってもらえることがあります。居住支援法人は都道府県が指定しており、国土交通省のページから一覧を確認できます。
契約前に確認しておきたい注意点
居住サポート住宅は認定を受けた住宅ですが、サポートの細かな運用は物件ごとに異なります。契約前に、安否確認がセンサーなのか電話なのか、異常を検知したときに誰がどのくらいの時間で駆けつけるのか、見守りの訪問は同じ担当者が来るのかを確認してください。
国の解説書は、契約に基づかないあいまいな名目での料金の受領、入居者からの契約解除を認めない条項、強制的な契約による金銭管理といった事案が生じないよう、事業者に注意を求めています。サポートの契約と一緒に財産管理などの契約を求められた場合は、その場で決めずに内容を持ち帰って検討するのが安心です。
また、居住サポート住宅の見守りは、亡くなった後の手続きや入院時の手続きまでを担うものではありません。万一のときの備えまで考えるなら、死後事務委任契約や任意後見契約をあわせて検討しておくと、住まいと手続きの両方が整います。組み合わせ方はおひとり様の契約4点セット|費用と効き始める時期で確認できます。
よくある質問
高齢者でなくても入居できますか。
入居者を要援助者に限る専用住宅は、日常生活に援助が必要な住宅確保要配慮者が対象で、高齢者のほか障害者なども含まれます。専用住宅以外の住戸には、要援助者以外の人や、住宅確保要配慮者でない人も入居できます。具体的な条件は物件ごとに異なるため、窓口で確認してください。
見守りの訪問を断ることはできますか。
専用住宅は3つのサポートを受けることを前提とした住戸のため、見守りを受けないことを前提に入居することは想定されていません。サポートが不要な場合は、専用住宅以外の住戸や、一般の賃貸住宅を選ぶことになります。
家族がいても入居できますか。
入居できます。家族がいても遠方に住んでいる、関係が疎遠で頼れないといった事情から、見守りが必要と判断される場合があります。3つのサポートを受けるかどうかは、身寄りの状況などをふまえて大家と入居者が合意して決めます。
サポートの対価はいくらくらいですか。
物件ごとに認定時の計画で定められており、全国一律の金額はありません。情報提供システムの物件情報や、問い合わせ時の説明で確認してください。国の基準では、サポートの内容や頻度に照らして不当に高額にならない金額であることが求められています。
まとめ

居住サポート住宅は、1日1回以上の安否確認、月1回以上の訪問による見守り、福祉サービスへのつなぎの3つがついた賃貸住宅で、2025年10月に認定が始まりました。費用は家賃とサポートの対価の2本立てで、入居する要配慮者の家賃債務保証は、保証人を条件としない認定家賃債務保証業者が原則として引き受けます。
サ高住のように職員が常駐する住まいではなく、普通の賃貸住宅に見守りを加えた住まいと考えると分かりやすくなります。物件は居住サポート住宅情報提供システムで探せますが、地域によってはまだ少ないため、見つからないときは居住支援法人にも相談しながら、住まいと万一の備えをあわせて整えておくと安心です。
